
昨年10月の訪英時、習近平主席は英中関係を「黄金時代」と表現(代表撮影/ロイター/アフロ)
「英中関係は黄金時代を迎える」。中国の習近平国家主席が訪問先の英国でそう胸を張ったのはわずか9カ月前の昨年10月のことだ。この訪英に合わせ英中企業は総額400億ポンド(約5.5兆円)もの巨額契約を締結した。しかし、英国のEU(欧州連合)離脱をめぐる国民投票の結果を受け、黄金時代の先行きに不透明感が漂い始めた。
中国の国際展開上、英国が果たす役割は大きい。第一に、英国は中国に対し最も理解のある先進国としてEUへのゲートウェー役を担ってきた。原子力発電所輸出に注力する中国による欧米初の原発建設を受け入れたのは英国であり、ロンドンに本部を置く欧州復興開発銀行(EBRD)への中国の参加も積極的に支援した。特に昨年中国主導で創設されたアジアインフラ投資銀行(AIIB)に英国が先進国ではいち早く参加を表明、フランス、ドイツ、イタリアが雪崩を打ってこれに続いたのは記憶に新しい。
EU内で議論が続く中国の市場経済国認定問題でも英国は認定に前向きで、EUと中国の投資協定や自由貿易協定の締結にも積極的だ。今後、英国の欧州での影響力低下は必至で、中国にとっては大きな誤算だ。
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