「EUから脱退する国は、加盟国とはまったく異なる扱いを受ける。単一市場の利益を享受したい国は、域内の人間、物、サービス、資本の移動の自由を保証しなくてはならない。義務を果たさず、よいところだけを取ることは、許されない」。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は6月28日に連邦議会で行った演説の中で、そう断言した。異例の厳しい口調で「英国はEU域内での移動と就職の自由を保証しないかぎり、単一市場から締め出される」という姿勢を明確にした背景には、ドイツがEUの将来について抱く、深い懸念がある。
その懸念とは、英国の「反EU症候群」が他国に伝染することだ。EUに反旗を翻すポピュリスト政党が躍進しているのは、英国だけではない。ここ数年、フランス、オランダ、オーストリアなどの国々でも、EUに批判的なポピュリスト政党の支持率が急激に高まっている。
ドイツでは、全国規模の国民投票は禁止されている。だがこの国でも、「ドイツのための選択肢(AfD)」という反EU色の強い右派ポピュリスト政党が支持率を伸ばしつつある。3月に三つの州で行われた州議会選挙では、同党が2ケタの得票率を記録し、議会入りした。全国規模で見ても、同党の支持率は約10%で、来年の連邦議会選挙で議会入りするのは確実とみられている。
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