EU(欧州連合)離脱の是非をめぐる英国の国民投票に関して、世論調査によれば、離脱派がその理由として挙げたのは第1位が「英国に関する決定は英国内で行うべきという原則」、第2位が「移民と国境の管理」であった。これに対して、残留派が挙げた理由で最も多かったのは「EUからの離脱による経済的なリスク」であり、次いで「欧州単一市場へのアクセス」であった(英国の富豪で、保守党国会議員であったマイケル・アシュクロフトによる世論調査)。
離脱派の主張が政治的であるのに対し、残留派の主張はもっぱら経済的な観点に立っている。それゆえ、離脱派はナショナリスティックな感情論に傾いているのに対し、残留派は経済合理性に基づき冷静な判断をしているかのようなイメージが流布している。
しかし、英国の著名なエコノミストであるロジャー・ブートルも指摘するように、残留派の主張に対し、経済的な観点からの疑問もある。そもそも英国経済は、貿易依存度(輸出+輸入の対GDP比)が4割強であるが、EU向けの輸出は対GDP比で1割以下にすぎない。
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