岩井 克人 国際基督教大学客員教授
英国のEU(欧州連合)離脱によって世界はどう変わるのか。資本主義のあり方や欧州統合に与える影響とは──。理論経済学の大家である岩井克人・国際基督教大学客員教授に聞いた。
私は英国のEU離脱は、冷戦以降英米が主導してきたグローバル資本主義の転換点になると考えている。
なぜか。もともとグローバル資本主義は1980年代に入り、サッチャー英首相やレーガン米大統領らが先導して進めた。政府の役割を最小限に減らし規制緩和や自由貿易を推進することで、国民所得を増やし、市場の安定性を高めるという考え方である。
89年にベルリンの壁が崩壊し、旧ソ連も消滅したことで、英米型のグローバル資本主義は独り勝ちの状態となった。しかし、そこには格差拡大という落とし穴があった。
英国ではボリス・ジョンソン氏が率いたEU離脱派が勝利し、米国ではドナルド・トランプ旋風が巻き起こり、民主社会主義者を名乗るバーニー・サンダース氏が多くの支持を集めた。いずれも底流にあるのは格差問題だ。すなわちグローバル資本主義の恩恵にあずかるエリート層に対し、困窮を強いられる非エリート層の反発が強まっているのだ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら