世界屈指のアカデミア、米ハーバード大学。ここに年間400人超の大学院生が受講する人気授業がある。その名も「健康と社会」。教壇に立つのは、公衆衛生大学院のイチロー・カワチ教授だ。人々の健康格差がなぜ生まれるのか、社会経済的な要因を明らかにする「社会疫学」の世界的権威である。
日本で生まれ、ニュージーランドで臨床医を経験し、公衆衛生研究のメッカである米国へ。経歴のままに、従来の枠組みにとらわれない新たな社会疫学に挑戦している“健康の賢人”。格差と健康をめぐり、世界で何が起こっているのかを聞いた。
──なぜ臨床医から研究者へと転じたのでしょうか。
大学を卒業してから2年ほど、ニュージーランドの首都ウェリントンの病院で内科医として働いていた。テレビドラマに登場するような、患者のあらゆる症状を治して命を救う仕事を思い描き、意気揚々と医者になった。だが、実際は毎日同じような症状の患者ばかり。8割以上は生活習慣病だったのだ。
この記事は有料会員限定です。
ログイン(会員の方はこちら)
有料会員登録
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら