「水素水がいいらしい」。最近、そう聞いたことはないだろうか。多くの製品が売り出され、テレビで女優が笑顔で紹介している。食品なので効果効能の広告表示は禁止だが、インターネットには「活性酸素を除去」「がんを予防」「ダイエットに効果」といった情報があふれている。大手飲料メーカーまで売り出したから、「効きそう」と多くの人が思っても当然だ。
だが実は、水素水の人への効果を確認した臨床試験の結果は少なく、しかも被験者が数十人規模にとどまる信頼性の低い研究が大半だ。がん予防やダイエット効果に至っては人での試験報告すらない。
「いや、知人は『水素水は絶対効く。実感がある』と言う」という読者もいるだろう。考えられる第一の理由はプラセボ効果。偽薬であっても信じれば身体的効果をもたらすことは、医学研究で立証済みだ。
水素水に限らず、健康によいとされる食品やサプリメントの多くには、学術的な根拠が足りない。たとえば、ブルーベリーが目によいと聞いたことがあるだろう。だが目への効果を調べる各種試験が行われているのはブルーベリーではなく、野生種のビルベリーという種類の抽出物に含まれるアントシアニン。ブルーベリーを生食したときの効果は未確認で、アントシアニンの含有量からいっても、十数粒のブルーベリー程度で効くはずはない。
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