アバターは、1月3日のライブの中継映像にCG合成され、バーチャルオーディエンスとして、「NEXT WORLD LIVE」に参加する。視聴者は自分のアバターを操作できるわけではないが、あたかも自分自身も番組に参加しているイメージを演出する。アバターはカスタマイズして、より自分好みのスタイルに仕上げることもできる。さらに、「SYMPHONY」は、ユーザーがカスタマイズしていく手順を学習し、スタイリングの精度が進化していくのだ。
次に「SYMPHONY」は、サカナクションによる番組テーマ曲の音源を組み合わせ、無数のREMIXを生み出し、ユーザーは、その中から気に入ったフレーズを選んでいく。「SYMPHONY」は、多くのユーザーに選ばれたフレーズを学習し、より複雑なREMIXを生み出すことができるようになる。ユーザーの参加とともに進化するREMIXは、ウェブサイトだけでなく、毎回の放送でも、シーンが切り替わる際のインターミッションでも紹介される。
「人工知能とユーザーがコラボし、集合知が生まれるような、今までにない、新しい視聴者の参加の仕方を生みだしていきたい」とデジタルコンテンツを担当する小川徹・編成局デジタルコンテンツセンター副部長は言う。
未来はポジティブかネガティブか
そして、1月3日の初回放送後に公開される新たなコンテンツが「Next World Map」である。これは番組内で紹介される未来テクノロジーのおよそ50を番組で使用した動画とセットで紹介。今後30年の時系列でマップを表示される。
視聴者はそれぞれのテクノロジーについてスライダーを使ってポジティブ、ネガティブの評点をしていく。シリーズが終わるころには、ユーザーがつくる未来技術のマップが出来上がっていくはずだ。「未来はみんなで作っていくものだ」というシリーズ全体のメッセージを体現するコンテンツだ。
Next World Mapはどのような姿になっていくのだろうか。「このサイトにはライゾマティクスの真鍋大渡氏やサカナクション、アンリアレイジの森永邦彦氏という気鋭のクリエイターが参加している。そして、番組に登場するのも、火星を目指すイーロン・マスク、長寿の研究を進めるデイビッド・シンクレアなど新たな発想でイノベーションを生み出しきてきた人物ばかり。番組で紹介される最先端のテクノロジーだけでなく、そうしたクリエイターやイノベーターたちが参加している点にも注目して欲しい」(小川氏)。
コンピュータチップの能力は18か月ごとに倍増する(ムーアの法則)。2045年にはコンピュータチップの能力は人間の知性に近づいていく。そして、ほどなくして全人類の頭脳を足し合わせても1つのコンピュータの能力にかなわなくなるのだ。そんな時代を、番組にも出演する未来学者、レイ・カーツワイル博士は「シンギュラリティ〈特異点〉」と呼んでいる。はたして、その時何が起こるのか――。カーツワイル博士は、「人類は生物的限界をも超える」と予測する。それは、人類にとっての黄金時代であり、人生を徹底的に楽しめるような時代なのかもしれない。
未来予測というと、コンピュータに支配される人間という、ネガティブな面にばかり注目しがちだが、ポジティブなこともいっぱいなのだ。まもなくやってくる人類の「黄金時代」を前提とした、社会制度設計について、今から議論を始めておくべきだろう。
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