実家の片づけ最終章!「墓じまい」の実態 人間関係やおカネの悩みもつきまとう

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墓じまいを経験した43人に墓じまいの際に苦労した点を挙げてもらうと、「移転費用」との回答が最も多く、「移転先の確保」と「親戚や田舎における人間関係」が続いた。

移転費用は、回答のあった65%の人が100万円以上かけており、200万~300万円というケースが目立った。古いお墓の解体料のほか、新しいお墓の墓石料や永代供養料が高額になる要因のようだ。古いお墓から魂を抜く閉眼法要、新しいお墓に魂を入れる開眼法要の際にも、住職へのお布施としてそれぞれ10万円程度かかる。

移転先の確保は、都市部になればなるほど難しくなる。最近は納骨堂や自動搬送墓など新しいお墓の形態も増えているが、「父の舎利殿のことを考えると、最近はやりのロッカー墓地は選択肢として考えられなかった」(東京都・40代男性)。また、田舎の人間関係に悩まされたという東京都の40代女性は、「祖父母や両親が元気なうちから、寺院や普段付き合いのない親戚関係についても理解しておく必要があると痛感した」と話す。

お墓を守る人がいない!

一方、地方ではお墓を移転するのではなく、そのまま放置されてしまう無縁墓も増えているようだ。無縁墓について正確な状況はなかなか把握できないが、熊本県人吉市のように市内の墓の4割が無縁化していた例も出てきた。

週刊東洋経済2014年12月20日号(12月15日発売)の特集は「実家の片づけ2」です。8月に発売し大反響を呼んだシリーズの第2弾。整理整頓から売却、墓じまいまで総まくりしました。

墓じまいや無縁墓増加の背景に少子化、そして人口減があることは間違いない。田舎の実家は親が亡くなれば、誰も住む人がいない空き家となる。そして家だけでなくお墓の維持管理をできる人もいなくなる。だから墓じまいをする必要があり、最悪、お墓は無縁化する。

アンケートからも今後のお墓の維持に対する不安が数多く寄せられた。「子どもがおらず、墓を維持する者がいない。自分や兄妹が亡くなったら無縁仏でもいいかなと思っている」(埼玉県・50代女性)。「自分の代までは実家への思い入れはあるが、次世代以降の墓参りや管理は期待薄」(東京都・50代男性)。「急速に空き家が増えている。多額の費用をかけてお墓をまとめても、おそらく死後は荒廃してしまうだろう」(島根県・60代男性)。

お墓を処理すれば、実家のある地域とは完全に縁が切れることになる。実家の片づけの後に待っているお墓問題。その時、あなたはどう対処しますか。

並木 厚憲 東洋経済 記者

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なみき あつのり / Atsunori Namiki

これまでに小売り・サービス、自動車、銀行などの業界を担当。テーマとして地方問題やインフラ老朽化問題に関心がある。『週刊東洋経済』編集部を経て、2016年10月よりニュース編集部編集長。

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