インターン・バブル、どう勝ち抜く? 大学3年生の就職戦線はすでに白熱
スタート当初は物議もかもしたが、学生とじっくり話すことができ、結果的に、15年4月入社予定の内定者の半数近くはニクリーチを経由していた。
今年はこのサービスを他社にも開放。すでに30社が参画を表明している。そのひとつで、印刷サイトなどを手がけるラクスルの河合聡一郎人事・労務グループマネージャーは言う。
「この時期にニクリーチに登録している3年生は、ITへの親和性と情報感度が高い。まずはインターンをしたいというエンジニア志望の学生にアプローチしたいと思っています」
経団連が倫理憲章を改めて「採用選考に関する指針」を定めたことで、16年4月入社から、新卒採用に関するスケジュールが大幅に後ろ倒しされた。会社説明会を開くなどの広報活動は、大学3年生の12月解禁から3月解禁に、面接など具体的な採用選考の開始は4年生の4月から8月にずれこんだ。
表向きは、8月に選考を始めて10月に内定式という「超短期決戦」。だが、冒頭のケースのように、個別に学生と接触する企業が続出し、企業の動きは例年以上に早まっている。『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新報社)の著者で人材研究所代表の曽和利光さんは言う。
「経団連の指針を守っていては、非加盟の企業や外資系企業にいい人材を先に採用されてしまいかねない。そもそも、『8月から採用選考を始めていては間に合わない』と考える企業も多い。多くの企業がリクルーターやインターンシップ、大学主催のセミナーなどを利用して、早い時期に学生と接触せざるを得ない状況になっています」
右端を折って目印に
かくして、インターン・バブルともいえる採用・就活戦線が幕を開けた。
リクナビの就活準備サイトが掲載したインターン募集数は前年の2倍。日本大学理工学部就職指導課の鎌田文一課長補佐も言う。
「本学の3年生に対する今年4月から12月までのインターン募集数は前年比2.2倍にのぼります。10月に3年生に会いにきたリクルーターもいた。後ろ倒しが前倒しを呼ぶ皮肉な結果になっているのです」