自民党の憲法改正推進本部は2月26日、会合を開き、憲法改正の発議の準備を進めることを確認した。船田元・本部長(元経済企画庁長官)は、2月4日に安倍晋三首相と会談した際、発議とその賛否を問う国民投票の時期について、首相が「参院選後が常識的」と述べたことを踏まえ、2016年夏の参院選後に発議を目指す方針を示した。
改憲実現は安倍首相の宿願だが、14年12月の総選挙では、「まずは自民党で国民運動を」と語るにとどめた。改憲の争点化を回避し、「憲法隠し」を図った感があった。
ところが、年明けの1月14日、関西テレビの番組で「憲法を変えるのは自然なこと」と語った。「イスラム国」の邦人人質事件の後、2月3日の参議院予算委員会で「国民の生命と財産を守っていかなければ。その中で憲法第9条をどう考えていくべきか」と答弁し、自衛隊の任務拡大を想定した改憲論を唱えた。
だが、2月12日の施政方針演説では、「憲法改正に向けた国民的な議論を深めていこうではありませんか」としか言わなかった。与野党の改憲勢力を総結集するには、それ以上踏み込まないのが得策、と判断したのかもしれない。一方で、改憲の発議権を持つのは国会だけで、国民も内閣も首相も、発議については無権限という憲法上の制約もあるからだ。
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