大阪環状線に新車両が導入される本当の理由 満を持して2016年度に「323系」がデビュー

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新型車両導入には、もう1つの大きな理由がある。それは、2020年までに全国のホームドア設置駅を800駅まで増やしたいという国の事情だ。

全国のホームドア設置数は2014年9月末時点で596カ所に達した。山手線には29駅中14駅にホームドアが設置されている。一方、JR西日本のホームドア設置駅は、東西線の2駅と山陽新幹線の1駅にとどまる。大阪環状線の駅にホームドアは設置されていない。

ホームドア導入拡大の起爆剤?

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最新車両の車内イメージ画像

その理由は103系、201系がどちらも4ドア車であるのに対し、大和路快速など環状線に乗り入れる他路線の車両は3ドア車であることだ。つまり、環状線を走る車両には3ドア車と4ドア車が混在しており、これがホームドアの設置を阻んできた。

今回導入される323系は3ドア車である。導入に伴い、103系と201系は環状線の運用を外れるため、環状線は3ドア車で統一される。これによって、環状線へのホームドア設置が一気に進むことが期待される。

西日本を代表する鉄道会社であるJR西日本でホームドアの導入が進めば、全国でホームドア導入の機運が高まるに違いない。JR西日本の新型車両には、こうした波及効果も期待できるのだ。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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