カプコン内紛劇の真相、モンスターハンター新作発売の裏で何が起きたのか
ゲームソフト中堅のカプコンは12月1日、人気ゲーム『モンスターハンター』の最新作『ポータブル3rd』を発売した。モンハンは複数のプレーヤーが協力しながら、巨大怪獣を倒すアクションゲームだ。前作『2ndG』は販売400万本の大ヒット。シリーズ販売累計は1300万本に達する。
発売日には東京都渋谷区でイベントを開催。前日夜9時からファンが並び始め、朝6時の開場時には400人以上が詰めかけた。
華やかなイベントで沸いたカプコン。だが、その裏では激震に見舞われていた。
前日の11月30日、成長戦略の中枢を担う開発部門のトップ、稲船敬二氏(常務執行役員)が会社を去ったのだ。稲船氏は『ロックマン』などのヒットタイトルを手掛けたクリエーターとして知られる。クリエーターがおろそかにしがちな採算管理でも力を発揮するなど、カプコンの屋台骨を支えてきた人物だ。
退社が発表されたのは、10月末の決算説明会の席上だった。突然の事態に、その経緯について質問が集中。だが、辻本憲三会長は「統治能力の向上が必要」と歯切れの悪い答弁に終始した。そのため、憶測が憶測を呼び、「権力闘争が原因か」とのうわさが関係者の間でささやかれていた。
ただ真相は泥沼の内紛ではなく、稲船氏が一人のクリエーターとしての生き方を選んだ、と見るのが正しいようだ。