プーチンの核攻撃「以前よりありえる」理由 ロシア軍は「核戦争への移行」を訓練している
「プーチンは核抑止力を使って、ウクライナで物事を有利に進めようとしている」。小型核兵器に関する状況を少し前にまとめたブラウン大学の政治学者ニーナ・タネンウォルドは、「プーチンは核をちらつかせて西側の介入を阻止している」と話した。
世界では、小型核兵器の開発競争が激化している。その破壊力は冷戦時代の基準からすれば小さいが、広島原爆の半分の威力の核兵器をマンハッタンの中心部で爆発させれば、50万人の死傷者が出ると推計されている。
こうした小型核兵器に対しては、核使用のタブーを弱め、危機的状況をさらに危険なものにするといった批判が向けられている。破壊力の小さな小型核兵器は核戦力の抑制的な使用は可能という幻想をつくり出すが、実際には小型核兵器の使用はたちまち全面核戦争に進展しかねないという批判だ。
プリンストン大学の専門家らが行ったシミュレーションでは、ロシアが警告として核兵器を使用した場合、北大西洋条約機構(NATO)による小規模な反撃が行われ、それに続く戦争では最初の数時間で9000万人を超える死者が出る、といった結果が出ている。
小型核弾頭の実戦配備は進んでいる
戦術核兵器、あるいは非戦略核兵器とも呼ばれる小型核弾頭を規制する軍備管理条約は存在しない。そのため、核大国は小型核弾頭をいくらでも製造して配備することができる。
ワシントンに本拠を置く民間団体、アメリカ科学者連盟で核情報プロジェクトの責任者を務めるハンス・クリステンセンによると、ロシアは約2000発の小型核弾頭を保有しているもようだ。