ビジネスは「理念や目標、価値の共有」と「価値を体現するビジネスコンテンツ」、そして「価値を効率よく作り出すシステム」が組み合わさると強くなります。元湯陣屋の経営改革では、この3つの点が直線でつながったことから、5年という限られた期間で売上が大幅に拡大し、利益構造が改善したのでしょう。
業界全体に外販という新しいビジネスモデル
宮﨑さんは次に、この一連の改革プロセスで生み出した最も大きな成果物である自社開発システムを外販し始めました。宮﨑さんが最初にシステムを導入しようとした際に、最適なシステムがなかったという旅館業界の現実をマーケットチャンスととらえ、新しく陣屋コネクトというシステム会社を設立したのです。
「旅館業界には、思いはあるけど、仕組みがないという会社はたくさんあります。そういった問題意識がある人たちと一緒によくなろうという思いで、陣屋コネクトを設立しました。
全国に取引先があり、オフィス兼用のキャンピングカーを自ら運転して回っています。システム導入などで何日間か滞在することもあるのですが、旅館の大事なリソースであるお部屋に、滞在してしまうと迷惑もかかってしまうためです。そして何よりも、キャンピングカーで行くことで本気度が伝わりますね」
また宮﨑さんは、システム導入という点ではノウハウを渡す立場である一方で、現場を訪れることで逆に学ぶことも大きいと言います。
「もともと旅館業界の経験がない私にとっては、逆に勉強させてもらうことも多いのです。そこで勉強させてもらったことをまた元湯陣屋に導入して、さらにサービスの質を改善することができる。そして改善したサービスの質をもとに、さらによいシステムを作るという好循環を生むことができます。
その意味では元湯陣屋は研究所のようなところでもありますね。システムの作り手である私たちが、旅館を運営しているというのは、お客様であるパートナーの旅館やホテルにとってもいいことだと思います」
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