中国スマホが救世主、沸騰する電子部品業界 日本の電子部品大手が軒並み好業績に

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が、先行きには懸念もある。一つ目は新興国で台頭する低機能・超格安スマホの存在だ。年間150台以上のスマホを分解・分析するフォーマルハウト・テクノ・ソリューションズの柏尾南壮氏は、「今後の主戦場は小米の格安機より安い100ドル以下のスマホ。が、こうした製品を分解しても、日本製部品はほとんど見つからない」と語る。日本メーカーは従来、高機能や小型を売りに比較的高額で販売してきたが、超格安スマホに採用されるには、価格を見直す必要性も出てくる。

二つ目は技術革新。一つの部品が複数の機能を果たすようになっており、部品の統合によって自社の部品が“切られる”可能性がある。

一方、環境が変わっても、不可欠な部品はある。「通信回線のLTE化が進むため、携帯電話の価格が下落しても高周波部品は搭載量が増加し、売り上げが増加するだろう」とある外資系証券アナリストはみる。使わざるを得ない部品を持っているかが、明暗を分けるわけだ。現状、高周波部品に強みを持つのは村田や太陽誘電、TDKだ。

 車載向けに熱い視線

事業環境の変化が見込まれる中、各社は「スマホの次」を模索し始めている。

有望株の一つが車載向けだ。京セラは7月に自動車プロジェクトチームを発足。自動車関連売上高を17年3月期には3000億円と、3年間で2倍にする大胆な計画を打ち出している。ロームも目下、営業部員を積極的に自動車向けに振り向けている。

自動車はエンジン制御から安全機能まで、あらゆる面で電子化が進みつつあり、電子部品の需要も高まっている。スマホと違い、一度受注すれば、その後安定的な需要を見込める。耐久性や信頼性が重視されることも日本メーカーにとっては強みとなろう。

ただ、猫もしゃくしも、とはいきそうにない。「自動車業界は実績が重視され、参入までに時間がかかる。これまで実績を積み上げてきた企業が自動車の電子化の恩恵を受けやすい」(前出の外資系証券アナリスト)。

自動車メーカーとの付き合い方も難しい。ある電子部品会社幹部は「自動車メーカーはコントロール圧力が強い。密着しすぎるとまるで傘下企業のごとく扱われるようになってしまうが、密着しないとそもそも部品提供ができないし……」と打ち明ける。

活況を呈する電子部品業界だが、今後はより勝敗が分かれやすくなりそうだ。

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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