新幹線札幌延伸で気がかり「並行在来線」の大問題 30年度末開業だが、いまだ方針が決まらない

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函館―新函館北斗間については、2018年度の輸送密度は4261で、人口は減少する中で新幹線札幌開業に伴う乗り換えの増加により2030年度は5592に上昇し、2040年度においても4640と予測されている。国鉄改革当時の基準でも廃止対象ではない水準であり、仮になくせば、函館市は新幹線駅と市街中心地間のだれの目にも明確な輸送ルートを失う。

『鉄道ジャーナル』2022年5月号(3月18日発売)。特集は「津軽海峡波高し」(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

それは、函館を行きにくい地にすること、あるいは飛行機にシェアを譲ることにほかならず、新幹線を経営の柱にしようとしているJR北海道自身にとっても、みずからの首を絞めることになってしまう。

ゆえに残されると目されてはいるものの、具体的には何も決まっていない。北海道新幹線が札幌に到達すれば自らの手は離れるという路線を電化し、新型電車を投入しているJR北海道の行動にヒントがあるように感じられるが、函館市の中でも、JRが手掛けない場合の引き受け手としては最も順当な事業体に思える道南いさりび鉄道においても、表に出てくる動きはまったく見られない。函館市によれば現在、「北海道による精査を待っているところ」である。

新幹線開業まであと9年、残された時間は短い

その道庁は、「例えば函館の広大な構内一つ取っても、道内全体の車両を管理する施設は不要であり、どの程度の範囲の資産を譲り受けるかで負担は大きく変化する」とし、協議会の求めにより順次出されてくるJR北海道からの資料を、さまざまなパターンで検討中と言う。

いずれにしても、これらのことをあと9年のうちに意思決定し、工事を行うべきは工事を行い、実現させなければならない。

すると、もはや残された期間はきわめて短く思える。また、これまで国で決めた制度・システム全体に関わってくることだけに、各種の決め事にも手を付けなければならない困難が待ち受けている。すべて時間切れで立ち止まり、線路だけが消えてしまったなどという事態だけには至らないでほしいものである。

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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