テレビのバラエティが“延命"に走る深刻な理由 BTS、鬼滅、チェーン店…他社ブランド頼りの危うさ
また、リアルタイム視聴にこだわることの問題は、それだけではありません。その問題とは、リアルタイム視聴してもらうために、現在の視聴者が嫌う「CMまたぎ」「同じ映像の繰り返し」「大げさなあおり」「引きつけるためのネタバレ」などをやめられない状態を続けていること。これらは制作現場のテレビマンたちも「やめたほうがいい」と気づいているものの、彼らは「0.1%でも視聴率を上げなければいけない」という立場だけに疑問を抱きながらも続けているのです。
そんなテレビマンたちの拠り所になっているのが深夜帯のバラエティ。各局が鮮度のある企画を次々に発信しています。
日本テレビは月・火曜に「MCも内容も当日の生放送まで明かさない」という斬新な「午前0時の森」をスタート。テレビ朝日は30分枠×8番組を投入する「スーパーバラバラ大作戦」と、全社員から企画募集して番組を作る「お願い!ランキングpresentsそだてれび」をスタートします。フジテレビも若手スタッフを起用した「水曜NEXT!」を放送中であり、一部のお笑いフリークなどから「深夜帯には面白い番組がある」という声も上がりはじめるなど明るいきざしも見えはじめました。
これらのトライアルは素晴らしいものであり、成功したものはゴールデン・プライム帯でも放送されていくでしょう。しかし、トライアルの数が少ないうえに、深夜帯では影響力が少なく、「バラエティが面白くなってきた」と思わせるまでには至りにくいというのが現実。さらに、テレビ業界の「深夜からゴールデン・プライム帯へ」という段階を踏む習慣はスピード感に欠けるきらいがあり、たとえばせっかくの企画がYouTuberに模倣されてしまうリスクもあります。
ドラマは未来を担う存在に一変
バラエティがネガティブな状況にある一方で、ドラマにはポジティブな動きが見られます。
現在放送中の「ミステリと言う勿れ」(フジテレビ系)は第1話から第9話までの見逃し配信再生数が3200万回を超えたほか、他にも各局の最高記録を更新した作品が少なくありません。さらに今春、フジテレビが水曜22時台、TBSが火曜深夜、テレビ東京が火曜深夜に新たなドラマ枠をスタート。また、春ドラマの「金田一少年の事件簿」(日本テレビ系)が動画配信サービス「Disney+」で世界配信されることが発表されています。
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