テレビのバラエティが“延命"に走る深刻な理由 BTS、鬼滅、チェーン店…他社ブランド頼りの危うさ

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さらに苦しいのは、なかなか結果が出ないため、「新番組を作るくらいなら、既存番組をリニューアルしたほうがいい」という戦略を選ぶケースが増えていること。テレビマンたちも目の前の結果が必要なサラリーマンだけに、「手っ取り早いリニューアルで数字を得ようとし、ますます視聴者からの支持を失ってしまう」という悪循環に陥っているのです。

なかでも最も危惧されるべきは、他社のブランドに頼るような企画の数々。しかも、人気があるものをそのまま使うような“乗っかり型の企画”が増えているのです。

たとえばこの1週間だけを振り返ってみても、14日の「ネプリーグ」(フジテレビ系)は「フカボリーグ」というコーナーでBTSのクイズを約40分間にわたって出題。16日の「東大王」(TBS系)は「ハリーポッタークイズ2時間SP」と題して全8作品を振り返るクイズを2時間まるごと出題しました。

また、19日の「99人の壁」(フジテレビ系)は、「鬼滅の刃」「アニソン」「韓流エンタメ」の3つを2時間で徹底特集。ちなみに、同じ時間帯に放送される「THE鬼タイジ」(TBS系)も「鬼滅の刃」を彷彿させるコンセプトのゲームバラエティです。

いずれも熱心なファンを持つコンテンツを狙い撃ちし、大半の時間を使って放送していることがわかるのではないでしょうか。主役は番組や出演者ではなく、他社のブランドであり、特定のファン層に見てもらうことで結果を出そうとしている様子が伝わってきます。

当初のコンセプトから大きく逸脱

他社のブランドに乗っかるような番組はそれだけではなく、もっと多いのは大手チェーンと食品メーカーを全面的にフィーチャーした企画。

12日の「ジョブチューン」(TBS系)は、吉野家、かつやVS超一流料理人のジャッジ。15日の「家事ヤロウ」(テレビ朝日系)は、「企業公式レシピNo.1決定戦 炊き込みご飯編」でポッカサッポロ、ホテイフーズ、雪印メグミルク、ピエトロ、エバラの5社をフィーチャー。15日の「所JAPAN」(カンテレ・フジテレビ系)は、「しゃぶ葉VS磯丸水産!人気チェーン勝手に比較!」。16日の「林修のニッポンドリル」(フジテレビ系)は、「ニトリ売上番付」と「和食さと売上番付」。18日の「ウワサのお客さま」(フジテレビ系)は、コストコ、カルディ、丸亀製麺などを特集しました。

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