ウクライナ侵攻で露呈「ロシア軍」驚くべき脆弱さ 携行するのは20年前に期限が切れた食品
さらに当局者によると、ロシア軍の上層部はこれまでのところリスクを避ける傾向が強いこともわかっている。
ロシア軍がウクライナ全土の制空権をいまだに確保できていない理由の一端もこうした慎重姿勢にあるという。ウクライナ北部の悪天候に直面して、ロシア軍将校は攻撃機や攻撃用ヘリコプターの一部を地上に待機させる一方、ほかの機体を低空飛行させた。そのため、ウクライナの地対空ミサイルに撃墜されやすくなったと、アメリカ国防総省のある高官は話した。
「ロシアの戦力の多くは投入されないままとなっている」。アメリカの防衛研究機関、海軍分析センター(CNA)でロシア研究の責任者を務めるマイケル・コフマン氏は電子メールでこう指摘した。「部隊の配置にはまったく合理性がなく、実戦の備えは皆無に近く、士気も驚くほど低い。この戦争に送られると聞かされていなかったのは明らかだ」。
エリート空挺部隊「撃破」の衝撃
複数の当局者によると、ロシアの戦車部隊は、砲撃を行いつつ戦車を守るには配備された兵士の数があまりに少ない。ウクライナが使用するジャベリン対戦車ミサイルに次から次へと爆破され、キエフに進軍する車列が停滞しているのはこのためだ。
ロシア軍が戦場で敗北を喫し、犠牲者が増え続けていることも、ロシア軍の士気に影を落としている。
「精鋭のロシア空挺部隊がウクライナ軍に撃破されたことで、ロシア軍の士気はズタズタになるはずだ」。ロシア軍に詳しいアメリカン・エンタープライズ研究所のフレデリック・ケーガン氏は、「これを見たロシア兵は『なんていうところに足を踏み入れてしまったんだ』と言うに違いない」と話した。
精密攻撃でウクライナ軍の部隊を降伏に追い込む作戦が難航している以上、ロシア軍はすでに民間人に多数の死者を出している無差別攻撃を一段と拡大してくる可能性が高い。
ロシア軍は苦戦しているとはいえ、軍当局者はやはり最後には物量が物を言うと考えている。
NATO欧州連合軍の元最高司令官で退役将軍のフィリップ・ブリードラブ氏は、ウクライナ危機に関する4日のオンラインイベントで次のように語った。「ロシアの進軍は遅い。だが、攻撃は容赦なく続いており、投入できる戦力もまだ豊富に残されている」。
(執筆:Helene Cooper記者、Eric Schmitt記者、Julian E. Barnes記者)
(C)2022 The New York Times Company
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