自宅で手軽に味わえる「冷凍駅弁」10の開発秘話 賞味期限にとらわれない、密かなブームに

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北海道は長万部の駅弁、かなやの「冷凍かにめし」は2009年から販売している。

かなやの「かにめし」冷凍版(筆者撮影)

2021年10月26日付記事(自販機や通販も…「駅弁」生き残りへあの手この手)でも紹介したが、レンジで温めることによって、炒ったカニがほわほわと香ばしくなり、甘みが増す。カニに交じったタケノコ細切りの食感もいい。

おかずの佃煮こそ入っていないが、箱も、中に入ったパッケージも、本来の「かにめし」の掛け紙をそのまま使用したデザインで凝っている。同じデザインを使った「かにめしティッシュ」もなかなか楽しい商品だ。

淡路屋「どこでも駅弁」

「ひっぱりだこ飯」でおなじみ、神戸、大阪地区の駅弁・淡路屋は昨年5月に自然解凍にも対応した「どこでも駅弁」シリーズを発売した。

淡路屋「どこでも駅弁」シリーズは実際に駅弁として販売されている商品の冷凍版(筆者撮影)

「駅弁は『冷めてもおいしい』ので、その再現にこだわりました」(広報・柳本さん)

「急速冷凍すると自然解凍しても米が変質せずに食べられることがわかり、新たに急速冷凍機を購入しました。さらに自然解凍でもおいしく食べられる調理法(企業秘密)を確立し、完成に至りました」と自信のほどをうかがわせる。

「ひっぱりだこ飯」を電子レンジで、「きつねの鶏めし」を4〜5時間かけて自然解凍でいただいてみたが、どちらも本当においしかった。やわらかいタコにパクパクと食べすすんでしまうタコ飯、まさにいつも食べているあの味だ。「どこでも駅弁」はほかに「神戸名物すきやき弁当」がある。

冷凍駅弁ではないが、最近発売されたコンテナ弁当(中身はすきやき弁当)は怖いほどに売れたそうだ。現に私もコレクター心をくすぐられ、まんまと2個買っている。早く国鉄コンテナ版を出してほしい。たぶん2個買う。

佐賀県の有田駅で売られている「有田焼カレー」はオリジナルの有田焼の器に入ったカレー駅弁だ。

有田テラスの「有田焼カレー」。左が大(加熱後)、右が小(加熱前)(筆者撮影)

もともと電子レンジで温めて食べる駅弁で、有田駅ではその場で温めてもらい、イートインコーナーで食べることもできる。ただ、有田焼の器が重いので、元々通販に向いている商品ではあった。テレビの通販ランキング番組でもよく紹介されている。

「有田焼カレー自体は2007年4月に販売を開始、冷蔵では2009年に通販を始め、冷凍として販売したのは2016年くらいから。冷凍で半年もちます」(有田テラス・廉隅さん)

今まで何度も食べているが、今回久しぶりに食べてみた。以前はスパイシーな大人の味だったが、少しまろやかになったようだ。カレー自体がおいしいので、何度食べても飽きがこない。食べたあとの有田焼の器は、さまざまな柄があり、我が家では毎日のように食卓で活躍している。大きさといい、手なじみといい、使い勝手がとてもいいのだ。

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