自宅で手軽に味わえる「冷凍駅弁」10の開発秘話 賞味期限にとらわれない、密かなブームに
松栄軒(鹿児島)の「鹿児島仕込 厚切り黒豚角煮弁当」が冷凍駅弁になったものが「#おうちで駅弁 鹿児島黒豚角煮めし」だ。
角煮はレンジで温めるのが難しいのでは、と懸念していたが、これもまったく問題なかった。
食べごたえのある黒豚角煮はしっかり味付けされており、レンジで温めるとより一層やわらかい。きんぴら笹ゴボウがふんだんに入った鶏めしとともに、ビールによく合う駅弁だった。
通常の駅弁とパッケージも中身も変わらないのが岡山駅の三好野本店「冷凍桃太郎の祭ずし」。と言いつつ、通常の「桃太郎の祭ずし」と比べると、容器の色だけ微妙に違っている。冷凍のほうは電子レンジ対応にするため、新しく作ったものだそう。
「いちばんおいしく食べられるのは電子レンジで解凍後、40分ほど寝かす(熟成させる)のです。真ん中が冷たかったのがじっくり温まり、ちょうどよくなります」(三好野本店・広報)
確かにこちらに関しては、温かいまま食べるより、冷ましてから食べたほうがよい気がする。実際そのとおりにすると、ちょうどよい食べごろになった。
番匠の「越前かにめし」
番匠本店(福井)の「冷凍越前かにめし」は実は10年前から販売されていたという。きっかけは大手スーパーから『日持ちするものを作ってほしい』と依頼されたため。
かにめしは、作ってすぐ冷凍する。通常の駅弁と冷凍駅弁はまったく同じもので、同じく容れ物もそのままだ。入っている袋だけが、冷凍のほうはPPポリエチレンとなっている。袋から出してフタをあけ、ラップをして5〜7分。温かいかにめしのできあがりだ。
「実はそもそもかにめしは、炊き込みご飯で、温かいものなんです。通常の駅弁もレンジで温めるとよりおいしさが際立ちます」(番匠・広報)
なんとなく、かにめしは冷たいものと思い込んでいたが、そうだったのか!と認識を新たにした。「駅弁は冷めてもおいしい」にとらわれすぎていたのかもしれない。
コロナ禍で駅弁の売り上げが落ち込む中、活路を開くために始めた冷凍駅弁。こうして紹介していくと、特に関西から西や九州地方に手掛けるところが多いように思う。冷凍駅弁誕生は、特に輸送に時間がかかる場所の業者にとっては必至かもしれない。
賞味期限は製造から約30〜90日のものがほとんどなので、遠方でも品質を落とさず届けることができる。
冷凍駅弁はこれからも続々参入してくるところが増えるだろう。一般的な冷凍食品も、10年前に比べて飛躍的においしくなったと感じる。冷凍駅弁もますますの発展を望みたい。
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