自宅で手軽に味わえる「冷凍駅弁」10の開発秘話 賞味期限にとらわれない、密かなブームに

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東筑軒の「かしわめし」は大正10年から変わらぬ味。販売している折尾駅では駅弁の立売もしている。あの甘く煮付けられた「かしわ」(鶏肉)と炊き込みご飯の組み合わせは時々無性に食べたくなる。

東筑軒(JR九州・折尾駅)の「かしわめし」、冷凍版(筆者撮影)

冷凍版は、ご飯と上に乗る具材3種が別々の袋に入っている。自然解凍がおすすめとあったが、待ちきれないので電子レンジで解凍する方法を選んだ。解凍してからご飯を軽く混ぜるのがポイントだ。上のトッピング3種は自分でのせるのだが、意外と簡単に見栄え良くできた。

駅弁の掛け紙はつかないが、掛け紙と同デザインの食べ方説明書が付く。味は通常の駅弁と比べてもまったく遜色なかった。実際の駅弁を食べたことがある者皆が納得の味だろう。

まねき食品の「但馬牛 牛めし」

山陽本線姫路駅の「まねきのえきそば」と言えば知る人も多いはず。そのまねき食品で通常の駅弁としても発売している「但馬牛 牛めし」の冷凍版をいただいた。

まねき食品の「但馬牛 牛めし」冷凍版(筆者撮影)

「冷凍駅弁は一昨年の8月には完成していました。さほど時間はかからなかったのですが、掛け紙や元の駅弁らしさを残すためのデザインのやりとりが、コロナ禍でなかなか進まず難儀しました」(工場長の毛利さん)

まねき食品の冷凍駅弁はすべて電子レンジでの解凍となっている。

「駅弁なのでもともとは温かい状態を想定していませんでした。通常の駅弁は、肉から出た出汁をかけていますが、温かいもののほうが味が濃く感じられるため、冷凍駅弁には出汁をかけていません。味は最初からしっかりついていますので、そこは問題ありません」

なるほど、確かに電子レンジで温めた「但馬牛 牛めし」は、お肉もご飯もそれ自体の味がしっかりと感じられる。出汁をかけたら味が過多になってしまうだろう。

「まねき食品は幕の内弁当発祥の会社なので、幕の内弁当の冷凍駅弁も作りたかったのですが、おかずによって電子レンジの熱の伝わり方が、それぞれ違うので、作るのが難しく断念しました」

そういえば確かに幕の内弁当の冷凍駅弁というものはまだ見ない。

石川県の駅弁屋・高野商店からは「炙りのどぐろ棒寿し」。

高野商店の「炙りのどぐろ棒寿し」(筆者撮影)

駅弁としても一番人気の商品だ。実は昨年、高野商店が冷凍駅弁の販売を始める前に、私はモニターをやっていた。その時は解凍した際のご飯に問題があるように思ったが、今回食べてみるとそれがすっかり解消されていた。

「炙りのどぐろ棒寿し」は、脂ののったノドグロの、とろけるうまさもさることながら、酢飯がもっちりとしてバランスがよく、一気に食べ終えてしまった。通常の駅弁と同じものとしては、「輪島朝市弁当」ほか数種類がある。

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