ソニー「Xperia Z3」、最大の魅力とは? ベルリンからプラハへ、製品レビューの旅<5>

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ガラケー時代は、充電し忘れても2日ぐらいなら使えるのは当たり前という機種も少なくなかったが、ハイエンドのスマートフォンで”2日間使える”を売りにした製品は少ない。

ではXperia Z3が”燃料タンクを大きくしただけ”のスマートフォンかというと、そうではない。Z2と同じ5.2インチサイズで3100mAhと、むしろ僅かながらにバッテリー容量は少なくなっているのだ。にもかかわらず、おおよそ1.4日ぐらいのバッテリーが使えるかな?といったZ2に対して、Z3はまる2日ぐらいはなんとかなるイメージ。つまり、燃費の方が向上したのだ。

今回の欧州旅行に限らず、旅行中のスマートフォン依存度はとても高い。自分がいる位置や向いている方向を地図で確認し、ランチに使うレストランを検索し、景観の良いポイントを写真検索で探したり。さらには仕事で持ち歩くパソコンのインターネット接続も、スマートフォンを通じて行っていた。

カメラ機能とビデオ機能のテストも兼ねていたから、クルマで移動中にフロントガラスに固定したZ3で街の様子を動画に収め、至る所で写真を撮影。合間にメールをチェックしつつ、SNSで友人と旅行の様子についてメッセージを交わす。日本で一日中仕事をしている日に比べると、その利用時間は遙かに長い。

そんな状況下では、当然のようにバッテリーの減りは速くなる。一般的な走行条件では1リットルあたり13キロぐらい走ってくれるGTI Performanceをアウトバーンでぶっ飛ばせばリッター9キロぐらいになってしまうのと同じで、最新プロセッサの瞬発力を活かした機能を使い続ければ、当然、Z3の燃費も悪くなる。

残量を気にしないで使える自由さ

しかし、普段よりも多く機能を使う旅行中の中でも、未使用時(アイドリング時)や、さほどパワーが必要とされないアプリケーションを使っている際の消費電力が抑えられているのだろう。パソコンでの通信時に使うテザリングモードの切り替えさえマメにやっておけば、1日中、バッテリー残量を気にしながら使う必要はなかった。

”2日間使える”を実現するため、大きなバッテリーと省電力なシステム、低消費電力ながら瞬発力ある高性能プロセッサなどを組み合わせたことで、Xperia Z3に頼り切っても(バッテリー切れなどで使えないなどのトラブルに遭遇することなく)大丈夫そうだと確信できるようになると、翌日からZ3の使い方が変わった。チビチビ使うのではなく、思い切り使えばいいと思えると、同じAndroidスマートフォンでも使いこなしが変わってくる。

おそらく、今後はシステムLSI、ディスプレイパネルの省電力化などが進み、他社製品も含めて”2日間バッテリーが使える”製品が増えていくと思う。Androidは5.0で新たな省電力技術を導入しており、新バージョンへの移行でさらに延びるかもしれない。

一方で、ここまで来るとそこまでスマートフォンを使い倒さない層からは、"1.5日ぐらい”の小型モデルへのニーズも高まるのではないだろうか。今世代で言えば、Xperia Z3 Compact(日本でのXperia Z3f)ぐらいのプレミアムコンパクト機が、省電力技術、バッテリー技術の進歩によってさらに市場を拡げるかも知れない。

基本ソフトやアプリエコシステムを一体にした付加価値をメーカーが演出しにくいAndroidにおいて、iPhoneを越える体験レベルを引き出すには、”この切り口”はとても使えるように思う。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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