会社員なら知っておきたい将来減る「3つの収入」 これらを当てにせず将来設計することが大事

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係長までは残業代が支給される会社が多いため、基本給が上がらないぶん、長時間の残業をこなして給料を補う方法もありました。ですが、これからは難しくなるでしょう。

働き方改革によって、過剰な残業をさせた会社には罰則が設けられるようになり、月に45時間を超える残業を禁じる会社が増えているからです。2023年以降は、中小企業も月に60時間を超えたぶんの残業代支払いの割増率が、25%から50%になります。

働き方改革以降、残業について月〇〇時間以内までと規制している会社も多いですが、その傾向はさらに強まるでしょう。過重労働に関する労働局の取り締まりも強化されています。残業代で稼ぐ考え方はあらためたほうがよいでしょう。

退職金の支給額が減額される可能性も…

将来的に減るかもしれない「3つの収入」。最後は退職金です。

税制の優遇制度もあり、会社員にとっては大変魅力ある制度です。これを頼りに住宅ローンの一括返済や老後資金の計画を立てる人は多いのではないでしょうか? ただし退職金も、支給額が減額されることがあります。

退職金の計算方法は会社によって異なりますが、勤務年数や役職により、「退職時の基本給×勤務年数に応じた月数(30年なら360月)」という計算式を採用している会社が大半です。そのため、他の人の話を聞いて安心していたとしても、昇給しないと額は少なくなります。また、労働基準法で定めがないため、ある程度、企業の裁量で変更できます(退職金規定の変更や従業員からの意見の聴取などは必要)。

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さらには、退職金を確定拠出年金に移行する会社もあります。確定拠出年金は企業年金のひとつで、自分で選んだ投資先で運用し、退職金を準備する制度です。この個人版が、iDeCoです。基本は投資と同じなのでしっかりと運用しないと資産が目減りする恐れがあります。

ここで紹介した3つの収入は、将来的になくなってしまう恐れがあるため、ローンを組むときは少なく見積もるようにしましょう。より堅実にいきたい人であれば、こういった収入は除外して、将来の収入シミュレーションをしておくのがよいでしょう。

佐藤 敦規 社会保険労務士

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さとう あつのり / Atsunori Sato

中央大学仏文科卒後、印刷会社に勤務。40代まではお金に対する知識はゼロ。株式投資を始めるがリーマンショックで約100万円損してしまう。お金に関する知識の必要性を痛感し、社会保険労務士試験の勉強を始める。合格後は生命保険や年金の正しい知識を持ってもらおうと三井住友海上あいおい生命保険のセールスパーソンに転職。現在は社会保険労務士法人に勤務。法人企業の助成金の申請代行や賃金制度の作成に携わるかたわら、セミナー活動や週刊誌やウェブメディアの記事も執筆。著書に『おじさんは、地味な資格で稼いでく。』(クロスメディア・パブリッシング)『「働き方改革」対応・助成金 実務のポイント』(同友館)など。

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