「ワクチン打たず感染」43歳彼女の周囲で起きた事 打ちたい意思はあっても体調面で見送った末に

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「今回のコロナ感染で大変だったことと言えば、職場の人間関係です。私がワクチン未接種のことも、オミクロン感染のことも、同僚には全部知られているので。『ほれ、見たことか』というような厳しい視線と意見がありました。迷惑をかけてしまったので何も言えませんが……」

少人数で長く勤めている人も多い環境、コロナ前まではスタッフ同士、アットホームな感じでうまくいっていた。ここでトラブルが生じたのだ。

ワクチンを打っていないことが職場のある人に知られ、避けられるようになったり、そのことを言いふらされたり、陰口を叩かれたりした。

そこに今回のオミクロン感染によって、仕事を十数日間休まざるをえなくなった。その穴は周囲がカバー。同僚たちは感染の有無を調べるため検査を受けざるをえなくなったうえに、一時休業も強いられた。

ワクチンを打っていないことをよく思わない同僚は、鶴子さんへの陰口に拍車をかけた。直接言ってこないが周囲から耳にする。

いちばんつらかったのは「人の排他性」を感じたこと

鶴子さんに、「オミクロン感染でいちばんつらかったことは何か」と聞くと、「職場の人間関係が変わってしまったこと」だという。

「コロナワクチンを接種したかどうかの問題がまずあり、打っていない人がオミクロン感染をしてしまったときの、人の排他性をすごく感じました。コロナを怖がり、自己防衛でとる態度や行動は仕方ないのですが、そこに傷つけられる人がいることも事実です。

職場だけでなく趣味の活動でも周囲に迷惑をかけてしまいました。『コロナ』という言葉がなければ、症状的には風邪とあまり変わらなかったかもしれませんが、他人を感染させてしまえば、同じように今度は周りの人に自粛に伴う心労をかけてしまう。ここも大きいと思います」

オミクロン株は多くの人が感染しているものの、昨夏の流行の中心となったデルタ株に比べると、比較的症状が軽く済んだ人が多いという話を聞く。

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ただ、今回の鶴子さんのように、ワクチン接種の有無や、その感染によって、周りの人との人間関係にひびが入ったり、考え方の相違が浮き彫りになったりするケースがあるのは、コロナという病気ならではの事象といえる。人によっては感染時の体調不良や後遺症と同じぐらい厄介なことだ。

ワクチン接種についてもあくまで任意であり、本心から打ちたくとも体調面の理由でそれがかなわない人もいる。しかし、打つ・打たないというだけで対立が生まれる。いまだにコロナ自体に感染したことを責めたり、非難したりする人も多く、感染経験者が肩身の狭い思いをしていることも少なくない。日本中に生んでいる「相互不信」も、コロナが人間に与えている深刻な病状の1つである。

斉藤 カオリ 女子ライフジャーナリスト、コラムニスト

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さいとう かおり / Kaori Saito

神奈川県出身、2000年桐朋学園芸術短期大学 演劇専攻卒。合同会社ジョアパルフェ代表。舞台女優、歯科衛生士の仕事を経てフリーライター・エディターに転身し、日経womanなど複数の女性誌や週刊誌、Webで執筆。その中で、働くママ向け媒体制作で出合った500人以上のシングルマザーの苦悩・本音に大きく心を揺さぶられ、現在も独自に取材を継続。『女性の自立と生きがい』を応援する事業も行う。3児の母でもある。
https://saito-kaori.com/

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