「汚部屋住人」の片付けは何が間違っている? 片付けられない人間の大いなる勘違い

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そういうふうに、一つのところで動かずに、そこで何でも事が済む。つまり、その部屋は機能的で、しかも合理的なのだ。

しかし、そういう機能的で合理的な部屋こそ、汚部屋と化す。なぜなら、部屋のその一角「以外」が生かされず、どんどんと腐っていくからだ。それは、たとえるならレギュラー選手が固定化したスポーツチームのようなものだろう。試合に出る選手はいつも決まっていて、そこに競争はない。

あえて部屋の四隅に機能を分配しよう

すると、控えの選手は腐ってしまって、練習に身が入らなくなる。たまに試合に出ても、使い物にならなくなるのだ。部屋もそれと一緒で、ある一カ所が快適だと、それ以外の場所がどんどんと「不快」になっていく。使いづらく、汚くなっていくのである。

そういう機能的な部屋は、たいてい部屋の四隅が汚れている。なぜかというと、部屋の四隅に行かないからだ。それで、どんどんと腐ってしまうのである。

そのため、汚部屋から抜け出すためには、部屋を機能的、合理的とは逆の、「非機能的」「非合理的」にさせる必要がある。例えば、必要なものを四隅に分配したりするのである。すると、必然的に部屋の中を動き回らなければならなくなり、その分移動距離や時間がかかるのだが、しかしそれに伴って、部屋全体がきれいになる。腐った場所がなくなり、至る所が生かされるようになるからだ。

そういうふうに、汚部屋の住人は間違った常識に縛られ、自分でも気づかないうちに汚部屋となってしまっているケースがほとんどだった。

その悪循環を断ち切るためには、上記の方法を実践したり、あるいは今度新しく出る『部屋を活かせば頭が良くなる』や『50からの老いない部屋づくり』を見ていただければと思う。

 

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岩崎 夏海 作家

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いわさき なつみ / Natsumi Iwasaki

1968年生。東京都日野市出身。 東京芸術大学建築科卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』など、主にバラエティ番組の制作に参加。その後AKB48のプロデュースなどにも携わる。 2009年12月、初めての出版作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(累計273万部)を著す。近著に自身が代表を務める「部屋を考える会」著『部屋を活かせば人生が変わる』(累計3万部)などがある。

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