夕張再生市長、「方向性はできたと思う」 毎秒67円ずつ借金返済が進行中

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──企業誘致も。

生薬メーカーが北海道を国内栽培拠点と位置づけている。漢方薬のツムラは1000ヘクタールの土地を19年までに確保して生薬2000トンの収量を目指す投資計画を持っている。それを一次加工する地が夕張。生薬のように作れば売れるという商品は今なかなか見当たらない。中国からの8割輸入の構造をなるべく国産に切り替えていこうとしている。クリアすべき問題はいろいろあるが、ありがたい進出だ。

──夕張は地の利があると。

僻地だと思われがちだが、実際は、空港や港湾は60キロメートル圏内にあり、札幌市街地まで1時間半のアクセスだ。高速道路も道西にも道東へもつながる。リスク分散を考えたときに本州の会社が北海道でという選択肢も当然ありうる。少し前に工業団地の残り2区画も売れた。9割引で、タダみたいな価格にしたこともあったが。

──医療では苦労しています。

それでも恵まれている。人口が1万いないところで、病院が公設1を含め5カ所あって、それぞれ医者がいる。人口が多かったときの名残で点在している。ただ、これもいつまでも維持できるわけではないので、公設を市の中央に移す。移したうえで行政コストを抑えた病院経営をしようと方向性を決めている。それに対して、既設地の住民からばかりでなく、移設先からも民業圧迫と反対されている。将来必ず、よかったと言われると思っているのだが。

丁寧な説明だけが、私にできること

──反対にはどのような対処を?

「夕張再生市長」講談社(1400円+税 236ページ)

地道なことしかできない。毎回3時間ぐらいは話し合う。ひたすら話し、聞く。それに勝ることはない。みなさん年齢的にも人生の先輩だから、街にとってこれ以上の手があるなら教えてくれと言ってきた。多くの場合、反対でも敵にはならない。話し合わないと敵になる。個人的には反対だが、おまえの案しかないかなというところにいけば、万々歳。こう考えているという丁寧な説明だけが、私のできることだ。

──ふるさと納税も増えて。

この半年で5000万円を超え、前年比13倍になった。1億円なら年税収の8分の1に相当する。ふるさと納税の過剰リターンが問題になっているが、夕張では手数料を入れて4000円程度のお返し。従来、メロン農家には何も支援していない。市がメロンを買って贈ることで、振興策にもなる。1万5000円の寄付で市には1万1000円入る。

──市長としては道半ばですか。

この5月に政府の地域活性化モデルケースに選ばれた。今後5年間、地域活性化における政府の集中的な支援が受けられる。国、道との3者協議も定期化され、6年間に45億円の予算計上を国から勝ち取ってもいる。たとえ私が突然死しても5~6年は確実な道筋をつけたと思っている。私の前、その前の市長は1期で辞めている。つらい状況に変わりはないが、方向性はきちんとできている。やるべきことを早め早めにやっていきたい。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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