スプリント、孫社長直轄で動き出す「逆襲策」 キャンパスを変える“山賊CEO”

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社員の多くは3カ所あるカフェテリアで昼食をとる。ハンバーガーやサラダといった定番から米国風の寿司風のサーモンロールまで多彩なメニューがそろっている。

マルセロCEOをはじめ、役員が集まる「6200ビル」。4階の会議室では毎日戦略会議が開かれる

一番人気は、注文を受けてから作るできたてピザだ。具材や細かなトッピングを指定できる点がウケているようだ。また、郊外の立地だからだろう。スプリントの携帯ショップはもちろん、ギフトショップや美容室、ATM、薬局、コンビニなどがあり、ちょっとした用事はキャンパス内で済ませることができる。スポーツジムやテニス、バスケコートも併設されている。

キャンパス内は6000本の木々が植えられており、6割以上が緑のあるスぺ―スだ。開放感のある造りになっており、社員は外で食事や仕事をしたり、気分転換したり、散歩しながらアイデアを練る。「違う部署の社員から、ランチの後に散歩に行こう、なんて誘われることもある」(スプリント社員)。働きやすさを考えて設計した結果、大学に近い構造になったという。

キャンパスにやってきた新CEO

11月15日号(10日発売)で「孫正義の挫折と逆襲」を12ページで特集。ソフトバンクの逆襲策を深掘り!(上の画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

のどかに見えるスプリントのキャンパス。業績的に厳しい割には、のんびりした雰囲気が漂う。

だが、その内部では急激な変化が起き始めている。きっかけはソフトバンク孫正義社長が”山賊”と呼ぶ身長2メートルの大男だ。

8月11日、スプリントの新CEOに就任したマルセロ・クラウレ氏は、業績不振にあえぐ同社にソフトバンク流のスピード経営を徹底すべく奮闘している。格安のプランを次々と投入し、同時に、毎日、幹部を集めてその日の販売実績を分析し、翌日の成績を上げるための戦略会議も行っている。マルセロCEOはソフトバンクが今年1月に子会社化した世界最大の端末卸会社「ブライトスター」の創業者。ボリビア出身の43歳で、たたき上げの起業家という面で孫社長と経営スタイルは近い。

最新の7~9月期の販売実績でも、収益源のポストペイド契約数が純減となり、追加リストラも決めるなど苦戦が目立つスプリント。しかし、孫社長が直轄する形で、”山賊CEO”の新体制で攻勢に転じようとしている。今後はのんびりしたキャンパス内の雰囲気もがらりと変わっていきそうだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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