JFEスチールで浮上、偽装請負疑惑の全容
組合員を標的としたリストラ行為の疑いも
本誌の質問に対して、JFE広報室は「直接業務指示を与えることはなく、適正な請負だったと認識している」と回答した。だが、同じ職場で働いていたJFE社員の丸山和良さんは、「JFEから渡邉さんたちに直接の指示が出されていたのは事実。それも常時だった」と語る。
事実であれば、共和物産は職業安定法で禁止されている違法な労働者供給事業を行い、中間搾取をしていたことになる。職安法は労働者供給を受け入れることも禁じており、JFEの責任も問われかねない。
労働組合員をターゲットにしたクビ切りの疑いも持ち上がっている。07年、中井さんは共和物産社内で相次いだ労災隠しを労働基準監督署に告発。同社の前所長らが書類送検された。告発の後、中井さんは地域ユニオンに加入し、組合員を増やすために職場内で活動してきた。
だが、労働組合員の多くが雇い止めにあった。稼働10年前後の契約社員12人のうち、非組合員7人は全員雇用が継続された反面、組合員5人全員が雇い止めになったとして、原告側は労働組合法違反の不当労働行為があったと主張している。
1年以上仕事がない長期失業者は、今年1~3月の平均値で5年ぶりに100万人を突破した。渡邉さんもその一人だ。長期失業の責任の一端は企業側になかったのか。JFEは説明を尽くす義務がある。
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(岡田広行 =週刊東洋経済2010年10月30日号)
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