円高問題へ日銀が示した量的緩和、フロントランナー・白川総裁の真意

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 今回の金融緩和策が決定・発表されたのは10月5日だ。その直後にはワシントンでG7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)が開催される予定になっていた。

その会議に9月15日、一兆円規模のドル買い介入を行った以外に何の政策発動もしていないわが国が参加すれば、他国から批判を受けかねないリスクもあった。

その点、日銀の新たな金融緩和策はきわめて有効だったとすら言えるし、実際、日銀のある幹部は「政策発動には円相場を意識したもの」であることを率直に認めている。総括緩和はデフレ脱却のフロントランナーだけではなく、政治的には無策に近い円高問題へのフロントランナーだったということになる。もっとも、これは白地のキャンパスに筆を下ろすような話だ。

フロントランナーがルビコン河を渡ったことは間違いない。

(浪川 攻 =東洋経済オンライン)

(写真は2010年4月、東洋経済のインタビューに応える白川総裁、撮影:吉野純治)

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