スカイツリーの光と陰、墨田区条例改正で波紋
東京の新名所「スカイツリー」の建設が進む墨田区。新たな観光地として脚光を浴びるこの地で、区役所とホームレスおよび支援団体の対立が激化している。
事の発端は、“リサイクル推進条例”の改正だ。10月1日付で施行され、資源ゴミ集積所から空き缶や古紙を持ち去る行為に20万円以下の罰金が科されることになった。
「ここ数年、2トントラックで乗り着けて、集積所から缶や古紙をごっそり持っていく悪質な業者が横行しており、区民からの苦情も増加している。2006年に持ち去り禁止を盛り込んだ改正条例が施行されたものの実効性がなかったため、今回、罰則を設けた」と区のリサイクル清掃課は説明する。だが、悪質業者のみならず、「ホームレスによる行為も罰金の対象」(同課)となったことで波紋を広げているわけだ。
区は「持ち去り行為に罰則を適用します」と書かれた警告ビラをホームレスに手渡すとともに、改正条例施行前から氏名の聞き取りやビデオ撮影を開始。施行後は禁止命令書を出し、従わない場合は刑事告発を行うと強硬だ。
一方、ホームレスや支援者は10月3日、浅草からスカイツリーまでデモを実施。「わしらの仕事を犯罪扱いするな」「仕事を奪うな」と抗議の声を上げた。ホームレスにとって、空き缶や古紙の収集は数少ない生計の手段だ。