普通列車と違う?新幹線・特急の運転士は「特別」か 社内で「選抜」ある場合も、SLは複数免許が必要
「SL大樹」を運行する東武鉄道によると、まずSL運転士になるには、電車の運転士としての免許(甲種電気車運転免許)の保有が前提だ。そのうえで「東武鉄道のSL事業を積極的に牽引したいという高い意欲とともに、運転技能やサービスマインドを総合的に勘案したうえで、日光・鬼怒川エリアにおけるSL事業を担うSL機関士・機関助士としてふさわしい人材を選抜している」という。わかりやすくいうと、「力量」と「品格」が求められるといえようか。大相撲の横綱昇進基準のようである。
そうして選ばれた人たちが機関助士となり、甲種蒸気機関車運転免許を取得して機関士となる。ボイラー技士の免許も必要だ。人数も限られているだけに、「特別な列車」の中でもとくに選抜の度合いが厳しいといえそうだ。
【2022年2月27日20時20分 追記】記事初出時、免許取得についての記述に誤りがあったため上記のように修正しました。
このほかにも、鉄道事業者によっては職種が設定され、そのための選抜が行われるところがある。京急電鉄では、「運転主任」という職級が設けられている。これは「営業車の運転士」の上位職級である。分割・併合作業を含む車庫からホームまでにおける車両の出入庫、運転関連では信号・ポイントの切り替え指示というのがあり、営業運転者への指示や、検査修繕などを考慮した車両運用(車庫への列車格納配置の差配)を行っているという。
京急電鉄によると、「営業車の運転経験を活かし、列車の運転から運用へと、1段上の視座から業務を行う仕事で、鉄道部門業務の中間管理職」という。運転士になったあと、本人の選抜や適性を見て配属しているという。
「特別手当」はあるのか
では、こういった「特別な列車」の運転士は特別な手当などはあるのだろうか。JR東海では運転士や車掌に出る手当はあるものの、新幹線運転士だけの特別な手当はない。小田急でも、ロマンスカー運転の特別手当はない。
ただ、東武のSL運転士の場合、SL(とそれを補佐するディーゼル機関車)には電車の運転と違う技能が求められるため、SLおよびDLの操縦にかかわる社員には特別な手当を支給しているという。京急の「運転主任」は、職能に応じた給与設定があるとのことだ。
「特別な列車」の運転士だからといって手当などの面で特別扱いはされないようだが、そういった面とは違うやりがいがあるからこそ子どもたちの憧れとなり、そして実際に目指す人も多いのだろう。
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