【産業天気図・造船・重機】円高痛手もプラントは上向く気配、業況感は後半「晴れ」へ改善
10年10月~11年3月 | 11年4月~9月 |
造船・重機械業界全体は円高影響などで足元は「曇り」と低調。だがプラントなど一部には晴れ間が見え、2011年4月には主要各社の業績も上向く見通し。来春には「晴れ」へ一段改善するだろう。
大手総合重機メーカーは、量産品がリストラ効果などで回復基調にあるほか、プラントなど受注品も採算が改善している。曇り空とはいえ、曙光が差し始めている状況だ。ただ、円高などで先行き不透明感もあり、曇り空はもうしばらく続きそうだ。
大手3社の11年3月期は順調な滑り出しだった。三菱重工業の4~6月期(第1四半期)の営業利益は、前年同期比で10倍を超える390億円となった。これは風車の受注キャンセルに伴うスポット収入約100億円(大半が利益)の影響が大きい。また火力発電や化学プラントなどの採算が工程管理強化の効果で改善していることも寄与した。
川崎重工業では、前期に大赤字となった量産品の二輪車で北米のリストラ効果が出ているほか、アジアなどの新興国向けに建設機械用の油圧機器が好調。第1四半期営業益は116億円と前年同期の赤字から急改善。IHIは、三菱重工と同様、プラントで工程管理の効果が出ているほか、量産品の自動車用過給機(ターボチャージャー)が伸びているため、第1四半期営業益は前年同期比65%増の149億円となった。
これらを受けて、川崎重工とIHIは、4~9月期(上期)の業績予想を増額。だが、通期予想は据え置いた。三菱重工は上期、通期とも据え置いている。円高の懸念や先進国経済の先行き不透明感があるためだ。今期は回復基調とはいえ、利益水準は各社とも数年前よりまだ低く、本格的な回復とはいえないだろう。来期に入れば、回復基調はより鮮明になりそうだ。