アップルの価値をよく知らない人に伝えたい本質 決算書をどのように見ていけば理解できるか

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アップルの時価総額は3兆ドルと日本円で340兆円以上、1社で東証1部時価総額合計の半分に迫ります(写真:eenah Moon/Bloomberg)
2022年1月、アメリカから「アップルの時価総額が3兆ドル突破」という衝撃のニュースが届きました。3兆ドル(約340兆円)の大台超えは、世界の上場企業の中でも初。東証一部上場企業約2200社の時価総額合計に対し、アップル単独でその半分に迫る勢いです。
その理由はいったい?立教大学ビジネススクールの田中道昭教授監修の新刊『くらべる!決算書図鑑~比較でわかる同業他社の意外な戦略&儲けのしくみ』より一部抜粋、再構成してお届けします。

アップルが評価されるワケ

アップルが時価総額3兆ドルに達した背景には、世界で10億台以上が稼働するiPhoneをはじめとした高収益モデル(収益性)既存の事業を活かしたAR(拡張現実)端末・VR(仮想現実)端末やEV分野への参入観測などによる成長期待の高まり(成長性)があります。

しかし、それだけではありません。同社を語るうえで特筆すべきなのは、その「安定性」です。アメリカの格付け大手ムーディーズは、アップルの格付けを最上位であるトリプルAに引き上げたのです。

企業の価値を決める3大要因

企業価値を高める3大要因は、前述の「成長性」「収益性」「安定性」ですが、この3つを同時に追い求めるのは非常に難しいのです。安定性を重視するなら新規の投資を見合わせる判断もアリですが、そうなると成長性は損なわれます。盤石な収益体制と継続的な安定性に加え、成長期待が高くなければ、企業価値は増大しないのです。

「企業価値」を求める“企業価値分析”思考

「企業価値」を求めるには、“企業価値分析”思考が必要であり、それには“バリュエーション”思考という、思考プロセスを活用します。

“バリュエーション”とは、文字どおり「value=価値」を示す用語で、企業価値を数値化して算出する手法のこと。企業価値は現時点の財務状況だけを見て判断するものではありません。貨幣には時間的価値があるという考えに基づき、将来的な上昇見込額を現在の価値に換算して算出します。

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