これはどんな不満や不安、悩みにも共通します。
例えば、転職。
「現状に不満がある」→「だから転職する」という考え方では、「何に対する不満なのか」という本質を理解できていません。結局、職場という場所を変えただけにすぎず、少し時間がたつとまた同じような不満を抱える、ということになりかねません。
そうでなく、具体的な不満の対象がわかれば、たとえそれが同じ転職という行動でも、より良い解決策に繋がります。
「自分はエキスパートとしてのキャリアを歩みたいが、現在の会社では自分の年齢やキャリアパスからして、マネジャー的な仕事が中心となってしまい、自分が望むポジションも、その機会もない」ということであれば、そのようなポジションを現在の会社に作ることを求めたり、転職という行動を通じてそのようなポジションを探したりすればいいのです。
具体化すれば同じ過程でも得るものは違う
結果としては、前者も後者も同じ転職という行動に落ち着くのかもしれませんが、その過程で得たものは大きく違うはずですし、その後の職業人としての幸福度もだいぶ異なることでしょう。
留学にしても同様です。
「単にMBAを取得します」ではなく、「将来●●業界に行くために、自分に足りない●●の補完を目指してMBAで勉強する」という、根本を押さえた目的意識がしっかりとしていれば、学ぶ内容も濃さも変わりますし、自ずと結果は変わるものです。
転職にせよ、留学にせよ、行動は手段でしかありませんから、目的たる本質部分の把握が、まずもって大切なのです。
さて、KTさんのケースです。
ここにも「漠然とした不安」とあります。一方で、「将来の結婚などを考えた際に現在の年収では心細い」とあります。
仮に、ここではKTさんが現在、ご自身の「年収が低いために将来の見通しが立たない」という悩みを抱えているとしましょう。この段階ではまだ悩みは漠然としています。
「将来の見通し」とは何か。どんな将来をご自身は描いているのか。これはつまり、ご自身が今後どんな人生を歩みたいかであり、ご自身の人生観であり、ビジョンです。そして、「その実現のためにはいくらくらいの年収がいつまでに必要なのか」といったことを、どんどん具体化する必要があります。
そのうえで希望する年収を稼ぐためには、今の自分には何が足りなくて、何をすべきなのか、その年収を稼げる職業にはどんなものがあり、どんな会社があり、自分にとって現実的な選択肢は何か、などを考えます。
そうやってどんどん具体化することによって、「今自分が何をすべきか」が見えてくるはずです。
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