サムスン電子、見つからない「次の切り札」 スマホ不振、2000年以降で最大の危機に
いわゆる「黄金のポートフォリオ」と呼ばれるIM(IT、モバイル)事業と半導体、生活家電事業のうち半導体だけがよかった。同社は決算説明資料で、売上高・営業利益の急減はIM事業の業績が悪化し、無線製品の需要が減少したことで部品やパネルの収益性も悪化したこと、テレビ価格の下落と季節的要因などを挙げている。
証券業界では、第3四半期にIM事業の営業利益を1兆ウォン後半から2兆ウォン前半と推定していた。消費者家電(CE)事業は赤字に転落、半導体部門の営業利益は2兆ウォン台前半と予想されていた。証券会社の中には、半導体部門の営業利益がIM事業のそれを超えると予想していたところもあった。実際にそうなれば、13四半期ぶりのことになる(確報値は10月中に公表予定)。
証券業界の予想は暗い。サムスン電子の第4四半期(10~12月)決算は小幅に上昇するというものが多いが、営業利益は4兆ウォン台を下回るというコンセンサスが形成されている。第4四半期も状況は厳しいとの予測が出る一方で、業績改善は早くとも来年第1四半期(1~3月)、遅ければ第2四半期になるだろうという観測も出ている。
9回目の「危機」を乗り切れるのか
長期的に見れば、サムスン電子は毎年成長しており、毎年史上最高益を塗り替えてきた。同社がこれまで何回もの危機をかいくぐってきたのも事実だ。以前にも、市場の予想よりも決算が下回ることも、しばしばあった。
ここでいう市場とは、主に証券業界のことだ。「中央日報エコノミスト」誌では、四半期ごとに営業利益が25%以上減少したことを「危機」とし、2000年以降のサムスン電子の決算を分析してみた。
サムスン電子は2000年第1四半期から今年の第2四半期まで、58四半期のうち8回の危機を経験している。今年第3四半期を含むと9回だ。2010年前までは半導体とディスプレー事業の実績とウォン高が、2011年以降はIM部門の実績とウォン安が明暗を分けた。
2003年第1四半期、サムスン電子は前年同期比で営業利益が35%減少した。半導体や情報通信(現在のIM部門)、生活家電ともにふるわなかったためだ。2004年第3四半期には液晶パネル価格が急落した影響で、営業利益が27%減少した。韓国国内でクレジットカード会社の財務悪化が拡大したことで消費意欲が減退し、その影響で携帯電話の売り上げが減少、アテネ五輪へのマーケティング費用も重荷となった。
2005年第1四半期と2007年第1四半期には、営業利益がともに45%ほど減少した。特に2007年第1四半期には半導体事業が振るわず、営業利益が15四半期ぶりに最も少ない1兆1800億ウォンにまで減った。当時の証券業界は、最近と同じような暗い雰囲気に包まれた。
2008年第4四半期は、リーマンショックによる世界的な金融危機という直撃弾を受けた。サムスン電子は8年ぶりに四半期赤字(約9400億円)となった。2011年第1四半期にはアップル社のアイフォーンの攻勢に押され営業利益が34%減少し、3兆ウォン台にまで落ち込んだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら