武田薬品が、ユーグレナに惚れたワケ 包括提携し健康補助食品から医薬品に展開へ
武田薬品工業は、ミドリムシを使った食品やジェット燃料の開発で知られるバイオベンチャーのユーグレナと包括提携契約を結んだ。ミドリムシを配合したトクホ(特定保健用食品)や栄養機能食品などのヘルスケア食品、一般用医薬品などの共同開発を主眼とする。
その第1弾としてミドリムシに大麦若葉、アシタバ、ケールを配合した健康補助食品「緑の習慣」の販売を武田薬品が開始した。当面はタケダ通販ショップのみでの取り扱いで、初年度売上高1.35億円、3年後5億円を目指す。第2、第3弾の商品開発もすでに視野に入っている。包括契約の詳細は公表されていないが共同研究でもあり、ユーグレナの収益予想に大きな変動はない見込み。
いずれはアリナミンのようなブランド商品に
武田薬品のヘルスケア事業の売上高は728億円(2014年3月期)あり、その中ではごく小さなスタートだ。だが、「ミドリムシの持つ59種類の栄養素や、パラミロンという天然物質の機能や作用に大きな魅力を感じた。いずれはアリナミンやベンザブロックのようなブランドに育てたい」(杉本雅史・武田薬品ヘルスケアカンパニープレジデント)と意気込む。
ミドリムシは虫ではない。昆布やワカメと同じく藻の仲間だが、変形しながら自力で移動もできる動物の側面も持つ、100分の1ミリメートルほどの微生物だ。
必須アミノ酸やビタミン類など多くの栄養素を含み、植物のような固い細胞壁がないため消化吸収率も高い。
このミドリムシの可能性を見込んだユーグレナの出雲充社長は、学生時代に旅行したバングラデシュの貧困層の食料支援を目指して同社を立ち上げた。ミドリムシの機能と可能性を研究する一方で、石垣島で屋外大量培養法を開発した。
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