小湊&いすみ鉄道、首都圏で満喫「国鉄型キハ」の旅 キハ40形導入で魅力度アップ、房総半島を横断

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小湊鉄道には何度か乗車しているが、やはりクロスシートで沿線風景を味わうのと、ロングシートで車窓に背を向けて座るのでは、車窓の印象もかなり違うと感じた。

小湊鉄道キハ40。クロスシート車両で沿線風景を楽しみやすく(筆者撮影)

JRのローカル線では、クロスシートとロングシートを組み合わせたセミクロスシートが多く、座席タイプは選択できるが、小湊鉄道のようにそれまでロングシートしかなかった路線にクロスシート中心の車両が導入されるというのでは、高揚感が異なるというものだ。「鉄道の旅」は、乗った車両の車内設備で、その路線の印象が大きく変わるというのもあらためて感じた。

東海道本線でも、ロングシート車両ばかりの熱海―豊橋間を普通列車でたどってみたいとはあまり思わないものの、米原以西なら転換クロスシート車両の「新快速」などが充実しているので、普通列車でも十分楽しいと思ってしまう。しかし、熱海―豊橋間の車窓がつまらないわけではない。やはり車両設備は大切である。

小湊鉄道には首都圏色や男鹿線カラーのキハ40も導入された(筆者撮影)

近年、東京から日帰りできる路線の普通列車は多くがロングシート車両と化してしまい、昔ながらの汽車旅が味わえる路線が少なくなってしまったなか、小湊鉄道がロングシートからクロスシート中心の車両になるというのは歓迎されるのではないだろうか。ただし、本来キハ40形にはトイレがあるものの、利用できる状態にはなっていなかった。

小湊鉄道には首都圏色2両と男鹿線カラーのキハ40形も導入されたので、こちらも営業運転が待たれるところである。また、キハ40形と従来のキハ200形を連結しての運転もあるようだ。

上総中野でいすみ鉄道へ乗り継ぐ

上総中野からはいすみ鉄道で大原を目指した。いすみ鉄道は元国鉄木原線を引き継いだ第三セクター鉄道で、こちらも沿線の菜の花などが美しく、週末には国鉄型車両も走ることから人気の路線である。

いすみ鉄道の国鉄キハ52(左)と新型キハ20(右)は酷似(筆者撮影)

上総中野で大原行きを待っていると、ラッキーなことにキハ20形がやってきた。いすみ鉄道にはロングシート、トイレなし車両とセミクロスシート、トイレ付き車両があるが、なかでもキハ20形はセミクロスシート、トイレ付きで、外観は国鉄キハ20形に似せた車両だ。往時の雰囲気をかなり忠実に再現、完成度の高いレトロ風新型車両である。いすみ鉄道には、週末のみ運行の元国鉄車両もあるが、元国鉄形のキハ52形と新型のキハ20形を比べても、どちらが国鉄時代の車両で、どちらが新型車両か、遠目には判別できないほどキハ20形は往時の雰囲気を持っている。

次ページ東京から日帰りで、ローカル線2路線が味わえる癒しのルート
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