阪神・和田監督の「続投劇」でわかるウラ事情 CSで阪神が巨人に勝っても、手放しで喜べない理由
野村監督は「タイミングが悪いことは重々承知ですが、これからのスケジュールもありますし、次の人事もありますから」と説明した。そして、続けざま本人が「選手には申し訳なかった」と語ったのは、自身の去就がチームに影響を及ぼすことを認めたホンネでもあった。
まして、コーチ、選手のほとんどが、「ポスト野村」は同じベンチにいる緒方孝市・野手総合コーチに固まっていることを薄々感じているから、チームとして戦いにくかったことは容易に察することができる。
結果オーライの続投要請、人材不足も露呈した阪神
一方、和田監督の来シーズン続投も異例だった。こちらはCS第1ステージを翌日に控えた10月10日の続投要請だった。しかも、球団トップの坂井信也オーナーがわざわざグラウンドに足を運んでまで要請したのは前例のないセレモニーでもあった。こちらも同様、コーチ、選手らは、監督をはじめ周囲の顔色をうかがうことになる。
8月下旬、阪神は和田続投を固めたにもかかわらず、そこからチームが下降線を描くと、前監督の岡田彰布氏、さらには金本知憲氏らをリストアップするなど、確固たる方向性を示せなかった。
複数の有力候補には内外のアレルギーが根強く、揺らいでいるうちに和田監督の率いるチームがシーズン終盤に踏ん張った。それもタナボタの2位、CSファーストステージの本拠開催で営業権も転がり込んだ。
その結末がCS前日の続投要請につながっていく。その経緯からはまったくチーム作りに対する信念の強さが伝わってこないし、後任の人材不足が露呈した消去法的な続投と言わざるを得なかった。
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