苦境の津軽線「ガニ線カード」が生んだ"化学反応" 地元大学の学生発案、JRと自治体も動き出した
JR津軽線は青森駅から津軽半島北端の三厩(みんまや)駅に至る全長55.8kmの路線だ。青森―蟹田間を1日9往復、蟹田―三厩間を1日5往復し、沿線住民の通勤・通学手段や青森市内に向かう交通手段として利用される。地元住民は途中駅の蟹田にちなみ、津軽線を「ガニ線」という愛称で呼ぶ。
開業は1951年。まず青森―蟹田間が先行開業し、その後1958年には蟹田―三厩間が完成し全線が開通した。1988年に青函トンネルが開通すると青森―新中小国信号場間が本州と北海道を結ぶ大動脈に組み込まれ、多くの旅客列車が津軽線を走った。しかし、2016年の北海道新幹線開業によって津軽線が果たしてきた本州―北海道間の旅客輸送の役割は消滅。現在の津軽線の旅客数は沿線の過疎化により減少の一途をたどる。
産官学連携「カード」で活性化
もちろん、これは津軽線に限った話ではなく、どのローカル線も沿線人口の減少で青息吐息。JR東日本の深澤祐二社長は、「このままでは運行本数を減らさざるをえない。そのとき、鉄道は地域の足としての役割を果たせるのか」と、危機感を強める。津軽線には2021年、老朽化したキハ40系気動車を置き換える形で最新の電気式気動車GV-E400系が導入されるなどテコ入れも行われており、当面は鉄道見直しの議論が出るようなこともなさそう。とはいえ、安閑とはしていられない。
そんな中、沿線自治体、JR東日本、青森大学が一体となった産官学による津軽線の活性化に向けたユニークな取り組みが始まった。津軽線沿線に暮らす人やJR社員らの津軽線への想いを8枚セットのカードに込めた「ガニ線カード」を500セット作成、2021年12月11日から青森駅と北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅で無料配布を始めたのだ。
12月17日には北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅構内でガニ線カードについて語り合うトークイベントが開催された。インターネットを通じて参加者は福井、北海道など全国から集まった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら