日経平均が2万5000円に下落しても驚かない理由 米株は今までが出来すぎ、下落後は再び上昇へ

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さらに週末14日には、昨年12月のアメリカ小売売上高が発表された。断片的には諸報道で「クリスマス商戦は好調だ」と伝えられていたが、このマクロ統計の小売売上高は前月比で1.9%減少となった。そのため、株式市場では「12月に入ってからの個人消費が想定外の弱さだ」と驚きをもって迎えられ、NYダウは前日比で202ドル下落した。

ところが、こうした景況感を悪化させるような材料が現れたにもかかわらず、10年国債利回りは1.77%まで上昇した。やはり、株式市場と債券市場の動向がバラバラになっている。

加えて、株式の物色面では、長期金利の上昇は大概ナスダック総合指数採用銘柄のような高PER銘柄に打撃になるところ、この週末のナスダック総合指数は上昇して引けている。

「投資家心理の不安」から右往左往しているだけ?

そもそも市場は材料の好悪に沿って正しく動くとは限らない。市場動向に関する解説においては、頻繁に「織り込み済み」「想定外」などの「便利な魔法の言葉」が使われてきている。その点では、前述のような材料や各市場のバラバラな動きは、とくに珍しいことではない。

それでも、先週の市場動向が示していることは、世界で不透明要因が極めて多いことから、投資家が先行きに対する不安を抱え、市況の方向感を自信を持って見通すことが難しいと感じて、慌てて飛びついて買ったり売ったりの行動を繰り返している、という現状ではないだろうか。

また、投資家によっては保有資産の損失がかさんでおり、材料の好悪にかかわらず、何かのきっかけで投げ売りせざるをえない、という事態も広がっているのかもしれない。

アメリカの市場を見ると、一時脚光を浴びていた投資対象の価格下落が、昨年11月あたりから著しい。

同12月20日付の当コラム「日本株が低迷しているのは岸田首相のせいなのか」では同国のIPO(新規株式公開)銘柄やSPAC(特別買収目的会社)のETF(上場投資信託)の価格が下落していることを指摘した。そうした資産の価格下落は足元で一段と進行しており、華やかな投資先に飛びついた投資家の投げ売りが続いていると推察される。

IPO銘柄の株価不調は、アメリカだけのことではない。日本でも昨年末には新規上場ラッシュがあったが、初値以降の株価が冴えない銘柄が目につく。世界全体を見ても、15日付の日本経済新聞朝刊報道によれば、2021年の新規上場3260社(株式発行を行わない直接上場などを除く)のうち、1676社において現在の株価が公開価格を下回っているとのことだ。

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