線路と道路両用「DMV」、日本が"世界初"ではない 英・米・独・ブラジルなど各国で試行錯誤の歴史

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ロードレイラーは、ほかにロンドン・ノース・イースタン鉄道(LNER)とオランダの鉄道会社が購入したが、営業運転で使われたかどうかはわからない。

アメリカの「オートレイラー」はレール上もタイヤで走るが、車体の誘導は鉄車輪を使う(写真:シボレーのニュース映画より引用)

アメリカでも同じ時期、エヴァンス・プロダクツというメーカーが「Auto-Railer(オートレイラー)」という両用バスを開発した。ロードレイラーと同じ鉄車輪内蔵式だが、タイヤと鉄車輪は独立して設置されている。タイヤをレール上に載せて走るが、そのままでは脱線するから鉄車輪をレール上に下ろし、車体を誘導する。

ワシントンDC郊外(バージニア州)の鉄道会社が1937年までに、少なくとも14両のオートレイラーを購入したようだが、営業運転が行われたかどうかはっきりしない。この鉄道会社は1940~1941年頃にペンシルバニア州とニューヨーク州の鉄道会社にオートレイラーを譲渡したらしく、こちらで営業運転が行われた可能性もある。

ドイツの両用バスは台車を「外付け」

戦後は西ドイツ国鉄が「Schienen-Straßen-Omnibus(シーネンシュトラーセンオムニバス=シストラバス)」という両用バスを開発した。

車両自体は普通のバスに近い構造で、鉄車輪は内蔵していない。線路を走るときだけ鉄道用の台車を装着して誘導する「鉄車輪外付式」だ。前方のタイヤを浮かし、後方のタイヤをレールに載せて走る。

ドイツのシストラバスは台車を装着する鉄車輪外付式。後ろのタイヤだけレール上に載せて駆動した(写真:Anagoria/CC BY 3.0)

定員は67人(座席43人、立席24人)で、最高速度は道路が時速80km、線路は時速120km。鉄車輪を内蔵しないため、道路走行時は死重が減るという利点があった。

50両が量産され、1953年に営業運転が始まった。しかし、冬季は線路走行時のスリップが多発。道路・線路の接続駅に台車と作業員を常時配置する必要があったことや、台車の着脱作業に時間がかかる(最大4分)ことも嫌われたようだ。実際に道路~線路の直通運転に使われたのは15両だけで、14年後の1967年までに営業運転を終了した。

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