永田町に大波紋「菅氏、表舞台で再始動」の裏事情 「反主流派連合の旗揚げ」との臆測が飛ぶ騒ぎに

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こうした菅氏との連携をほのめかすのが安倍氏だ。両氏は臨時国会前の12月2日に秘かに会食した。ただ、安倍氏があえて翌3日のインターネット番組で、菅氏との密談を明かしたことが波紋を広げた。

同番組で安倍氏は菅氏との関係について「絆は相当強い。いろんな場面で協力できることも多いのではないか」と安倍政権以来の親密な関係をアピール。さらに、党内の菅グループについても「菅さんが派閥をつくろうと思えば簡単に結成できる」と、派閥結成を促すような発言をしてみせた。

岸田政権誕生とともに首相官邸と自民党による権力構図は一変。第2次政権発足後は首相と麻生、茂木3氏によるトップ会談が定期化され、安倍派幹部の松野博一官房長官を加えることで、二階俊博元幹事長の率いる第4勢力の二階派以外の4大派閥を軸とする党運営態勢が明確化された。

ただ、この谷垣グループも加えた主流派の陣容をみると、麻生、岸田、谷垣グループはいずれも源流は宏池会(現岸田派)で、党内には「首相と麻生氏の狙いは大宏池会」(安倍派幹部)との臆測も広がる。

保守本流復活で「清和会主導」に終止符?

この「大宏池会」構想はかねて麻生氏が画策してきたとされる代物。合流すれば一気に安倍派(清和会)をしのぐ最大派閥となり、党運営の主導権を握れるからだ。しかも、戦後政治で長期間続いた「55年体制」下で、宏池会と同盟関係だった旧田中(角栄)派を受け継ぐ茂木派(経世会)も加えれば、故吉田茂・池田勇人両元首相が築き上げたいわゆる「保守本流」の復活ともなる。

これに対し、安倍派は吉田、池田両氏と対立した故岸信介・福田赳夫両元首相の系譜で、いわゆる「保守傍流」だ。それだけに、今回の「大宏池会」を視野に入れた動きは、福田赳夫氏の側近だった森喜朗氏の2000年の首相就任以来、「一時期を除いて自民党を牛耳ってきた『清和会主導』に終止符を打つ」(麻生派幹部)との思惑もにじむ。

もちろん、党内に敵をつくらないことを最優先する岸田首相は、菅氏への配慮も欠かさない。しかし、オミクロン政局が暗転すれば、菅氏の言動が、安倍、二階両氏との連携も絡めた主流派内の“確執”を掻き立てる状況ともなる。それだけに、菅氏の存在アピールが今後の首相の政権運営の波乱要因となる可能性は少なくない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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