早稲田、小保方氏への処分は妥当?甘い? 鎌田総長「大学側にも重大な不備・欠陥」

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大学側の重大な欠陥・不備とは、指導が十分に行き届かなかったこと、草稿を本稿として受理しそのまま博士号審査を通過させてしまったことだ。これにより小保方氏の指導教官であり、博士論文主査を務めた常田聡教授は1カ月の停職、副査は訓戒。また鎌田総長自身と当時の研究科長も管理責任を取り、役職手当20%をそれぞれ5カ月、3カ月自主返上するとした。

教育の場としての大学側の責任も重視

今回公表された文書の冒頭には、(1)「学問の府」として不適切な内容を含む学位論文をそのまま公開されている状態を放置しない、(2)「教育の場」として指導と責任を放棄しない、という2点にアンダーラインが引かれて強調されている。

論文不正は認めないという科学界の強い論調に対し、教育機関としての責任を果たすことを強調したもので、単純に甘いだけの決定とも言い切れない。訴訟対策という側面もある。また、今年度から一度不正で取り消されたら二度と提出させないルールに変更されたこともあり、「大学側に不正防止のための施策が十分でなかったのに、無条件で学位を取り消すことは不誠意である」という考え方は揺るがないようだ。

ただ、鎌田総長は「日本のサイエンスの信頼を失墜させたとまでは考えていない」と強い口調で語った。これに対し、国内外の研究者から「早稲田出身のポスドクは危険。あえて採用する気になれない」「日本のPh.D.は採用しない」とまで言われていることに対する危機感が弱いのではないか、と見る向きも少なくない。

今後、小保方氏が学位を維持するためには、担当教授の指導の下に論文を完成させて、2015年10月6日までに審査を通る必要がある。早稲田大学の学位審査は2月と9月の年2回なので、現実的に15年9月の審査に間に合わせなければならないということになる。ただ、数々の不適切な内容が指摘されていることもあり、単純に論文の訂正を提出すれば済むというわけではない。

あらためて研究者倫理教育などを受け、論文の書き方についても厳しい指導が必要とされており、前回のように合否判定の3週間前に提出するというわけにはいかない。数カ月前には提出しなければならないだろう。担当教授は主査、副査ともに今後決定するという。

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