プレゼンしないことが最強のプレゼンである理由 いつの間にか決まってしまう「テクニック」

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相手の立場に立って考えれば、どのようにプレゼンすればいいかは自然とわかってきます。会社も人間と同じように、個性はまちまちです。オリエンがしっかりしていない会社、クリエイティブのコミュニケーションに慣れていない会社、数字の積み上げやロジックを意思決定で重要視する会社、マーケティングに確固たるこだわりがある会社、などなど。

だから「プレゼンの技を磨く」ということに心血を注いでも、あまり意味はないと考えています。いくら自分のプレゼンスキルを磨いても、相手は多種多様なので、同じ方法が毎回うまくいくとも思えないからです。

それよりも、相手のことを知り、憑依し、その考えや判断基準を知り抜いたうえで想いを込めてプレゼンしたほうが、ロスなく次のステップに進めるはずです。

「いつの間にか決まっている」がベスト

私たちの会社dofの得意技は、プレゼンっぽく、提案っぽくしないことです。ターゲットやスローガンを決めるところからミーティングを重ね、コミュニケーションを繰り返しているうちに、「知らない間に企画や施策が決まっていた」みたいな雰囲気にしてしまう。それが理想だと考えています。「ディスカッションという名のプレゼンにしていく」と言い換えてもいいかもしれません。

決してプレゼンをないがしろにしたいわけでも、だまし討ちをしたいわけでもありません。このやり方の何がいいのかというと、クライアント自身が「自分たちで決めた」とより強く思えることです。相談をしながら決めていくことで、クライアントも提案に対して腹落ちしやすくなります。そして、「誰かに持ってきてもらった案を採用した」という雰囲気になりにくいのです。

「私たち自身がディスカッションや相談をしながら決めた」という流れにしたほうが、クライアントも強く当事者意識を持つことになり、プランが自分たちのものになりやすくなる。そして次に私たちが具体的なアイデアに進んでいくときも、「この間、話していてこういう考え方があったので、そこを掘ってみました」「この前のフィードバックを受けて、こんなふうにアイデアを膨らましてきました」と、お互いの理解の度合いやスピードが合った状態で企画を進めることが可能になります。

こうした流れで解決策となるクリエイティブにつなげていくと「あの打ち合わせが、こんなふうに売れるアイデアに変わっていくのか」と、アイデアに対しての愛着が、より湧いてくるというものです。だから私たちは意識的に「ディスカッションという名のプレゼン」を日々心がけているのです。

齋藤 太郎 コミュニケーション・デザイナー/クリエイティブディレクター

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さいとう たろう / Taro Saito

慶應義塾大学SFC卒。電通入社後、10年の勤務を経て、2005年に「文化と価値の創造」を生業とする会社dofを設立。企業スローガンは「なんとかする会社。」。ナショナルクライアントからスタートアップ企業まで、経営戦略、事業戦略、製品・サービス開発、マーケティング戦略立案、メディアプランニング、クリエイティブの最終アウトプットに至るまで、川上から川下まで「課題解決」を主眼とした提案を得意とする。サントリー「角ハイボール」のブランディングには立ち上げから携わり現在15年目を迎える。

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