パリ―ウィーン間「夜行列車」14年ぶり復活の意義 環境問題が後押し、路線網拡大はさらに進むか

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フランスからすれば、旧態依然とした夜行列車は運行するだけで多額のコストがかかるため、速やかに廃止したかったのだろうが、他国と共同で運行している国際列車を自分たちの都合で簡単に廃止することは難しい。そこでワンクッションとして乗り継ぎを強いることで徐々に乗客を減らしていけば、「利用客がいないから」という大義名分により廃止できる……というのは考えすぎだろうか。

ともかく、オリエント急行がこのような悲惨な末路を辿っただけに、パリへの夜行乗り入れ復活は悲願の1つでもあった。だが、いったん廃止した列車を復活させるというのはなかなか難しい。どうしてナイトジェットはパリ乗り入れを実現できたのか。

夜行復活は今後も進むか

理由の1つに、列車運行事業への参入を自由化するオープンアクセス制度が挙げられる。かつての国際列車は、各国内の運行をそれぞれの国の鉄道が担当しており、基本的には機関車も乗務員も国境で交代した。もし自国で運行したくないとなれば、前述の通り国境で打ち切ることができた。フランスは当時、夜行などの長距離列車を廃止し、TGV路線網を拡充したかったため、このオリエント急行のようにTGVに接続させることで区間短縮や廃止を相手国へ迫っていた。

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だが、オープンアクセスが施行されると、運行会社は国ごとではなく列車ごとに決まっており国境で分断されることがないため、フランス国内といえどもフランス国鉄の都合で廃止というシナリオはなくなる。今回運行開始したナイトジェットも、フランス国鉄はチケット販売や同国内の機関車提供など一部だけのサポートにとどまり、運行主体はオーストリア鉄道だ。同社が運行をやめない限り、今後も運転は続くだろう。

フランス国鉄にしても、運行スタッフや車両供出などの運営を相手に任せ、協力という形で参入すれば、負担もリスクを背負う必要もなく、手を出しやすい。ナイトジェットに関しては、他国でも協力という形での参入が多い。

そしてもちろん、環境問題が後押しをしたことは言うまでもない。とりわけグレタ・トゥーンベリさんを筆頭とする環境活動家の動きがこの数年で非常に活発になったことで、とくに若い人を中心として環境問題などについて向き合う機会が増えたことは大きく、こうした動きに政府や企業も重い腰を上げざるをえなかった点は否定できないだろう。環境活動家の意見は少々過激で、極論に走りすぎる面は否めないが、時間的、金銭的に無理のない範囲で極力鉄道を利用する、というその方向性については賛意を示したい。

コロナ禍により、せっかく上り調子だった鉄道利用にも一瞬の陰りが見えたが、少なくともEU圏内においては経済活動を優先させるため、コロナがピークだった2020年比では鉄道の利用客数は徐々に戻りつつある。鉄道利用を促進するEUの動きは変わっておらず、今後数年の間に夜行列車も数多くの新規路線開設や廃止された路線の復活が進むだろう。

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