まんだらけ社長独白「あの騒動と会社の今後」 ”マニアの聖地”中野ブロードウェイ店とは

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まんだらけ社長 古川益蔵(ふるかわ・ますぞう)●1950年生まれ。80年漫画古書店「まんだらけ」設立。90年から現職

──EC(電子商取引)ではオークションなど新たな手法が出てきた。世界のECを見ると、アマゾン、楽天、ヤフーが圧倒的な存在感だが。

まんだらけも専用サイトを持ち、毎日オークションをしている。最近始めたのが「ライブオークション」。オークション会場にいるかのように、1点ずつ順番に出される商品にリアルタイムで入札、その都度落札者が決まる。海外ではライブオークションが急成長しているが、日本でも普及するのではないか。

マニアに対するまんだらけのブランド力は圧倒的。特に宣伝をしていない現状でも、大量の中古品が持ち込まれて、毎日1000万円以上の商品を買い取っている。この買い取り力こそが強みだ。

われわれの扱う商品は偽物が横行する世界。ネットオークションにかけられている、アニメの原画やセル画などには、偽物が少なくない。まんだらけでは真贋判定用のデータベースを持ち、裁判所からの鑑定依頼も受けるほど。それが顧客の信頼感にもつながる。今後も専門性をさらに高めることで、十分に彼らに対抗していける。世界でいちばん高いモノ、いちばん珍しいモノがあるのが誇りだ。

万引きには我慢の限度だった

──今回の映像公開問題についてどう考えているか。

一言で言えば、商品を返してもらいたかったということだ。我慢の限度だった。

最初こそ、「何でこんなことを」という声と「よくやった」という声が50:50だったが、最後は90%が「よくやった」だった。反響の大きさには正直驚いた。警察も普段は動いてくれないが、今回は威信を懸けて捜査してくれた。

──今後の経営課題は。

今期は売上高100億円を目指していたが、消費増税の影響もあって若干届かないようだ。通販事業を拡大させて、なるべく早く、売上高を150億円に乗せたい。

現在は東証マザーズに上場しているが、来年には2部、さらに再来年には1部を目指したい。1部上場企業になれば、優秀な人材をたくさん獲得できる。私はあと2年で社長引退と決めている。(次期社長と考えている取締役の)辻中雄二郎君が、1部上場の鐘を鳴らしてくれるだろう。

1部上場企業を目指すためには、労働環境を含め、体制整備をさらに進める必要がある。ただ、それで社内に官僚的な雰囲気が蔓延してしまっては、まんだらけのよさがなくなってしまう。個人の感性を大切にする文化を守りつつ、1部上場企業にふさわしい体制をどう作るかだ。

(撮影:今井康一)

(「週刊東洋経済」2014年10月4日号<9月29日発売>掲載の核心リポート02」を掲載)

 

三上 直行 東洋経済 記者

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みかみ なおゆき / Naoyuki Mikami

1989年東洋経済新報社入社。これまで電機などを担当。現在は、冠婚葬祭業界を担当。

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大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。資産運用や相続、年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。大野和幸(X)

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