ガスパイプラインとロシア 酒井明司著
今年も欧州が暖房なしの冬を迎えることはあるのか。ロシアのウクライナへのガス供給の停止は、1991年末にソ連が崩壊してから何回も繰り返された。今年初めに両国の大統領が値下げで合意したが、「ガス戦争」は一時の休戦にすぎないようだ。
ロシアの欧州向けガス輸出の7割以上がウクライナを通過する。同国向けを止めれば、技術上の副作用が欧州向けに及び、またそこからの盗ガスも発生する。ロシアのガスパイプラインは資源輸出の根幹を成し、その「実働部隊」であるガスプロムは世界最大の天然ガス生産量を誇り、国家戦略と一体で動く。
日本もロシアからのガス輸入を始めている。ガスプロムはサハリン2などで、アジア・太平洋地域への進出を強化する方向にある。一度パイプラインを敷設すれば、エネルギー禁輸が政治の道具になりかねない。ガスという熱源をエネルギーとして、どう位置づけるべきかを考えさせる。
東洋書店 2100円
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