2005年、42歳のときには、最初の妻を病気で亡くされ、2009年には急性骨髄性白血病を発症。骨髄移植の手術を受けたものの、現在はその後遺症で闘病中だとのこと。現役引退後に名古屋に開業した中華料理店は病気のため閉店。その後、岐阜県に小さな店を出しますが、手術の後遺症で店頭に立つことも難しくなってしまいました。現在は2番目の妻の百合子さんがひとりで切り盛りされています。
全盛期の年俸は1億6000万円だったとも言われていますが、店の開業費や治療費などにおカネがかかり、今は4500万円もの借金を抱えているとのこと。それでも、「31年前に台湾から乗り込んできた自分が、今日(こんにち)の大豊には納得できんの! 死にきれん!」という大豊さんの表情には、鬼気迫るものがありました。ここだけはバラエティであることを忘れてしまうほどの迫力でした。
しかし、こうした「負」だらけに見える大豊さんの現在にも、「正」の側面がありました。それは妻百合子さんの存在です。大豊さんの闘病を支えるために、勤めていた会社も辞め、店でも自宅でも働き詰め。華々しい現役時代ではなく、引退後に知り合い、闘病中に結婚されたというのですから、まさに無償の愛。夫のためにこんなにも自分を捧げる生き方もあるのかと考えさせられました。
歌い続ける、往年のスターたちに思うこと
アメリカでも1999年から2002年まで、MTV系列のVH1という放送局で「Where are they now?」(あの人は今どこに)という番組を放送していました。デフ・レパード、メン・アット・ワーク、パット・ベネター、デイヴィッド・リー・ロスなど、1980年代に一世を風靡したアーティストの今を特集する番組で、筆者もアメリカ留学中に、よく見ていました。
世界的に成功したアーティストの人生というのは、想像を絶するほど波瀾万丈。特にデフ・レパードのメンバーの人生は苦難の連続。ドラマーのリック・アレンは1984年、交通事故で片腕切断。ギターのスティーブ・クラークは1991年、アルコールと薬物の過剰摂取で死亡。ベースのリック・サヴェージは1994年、ベル麻痺を発症。そして2014年現在、ギターのヴィヴィアン・キャンベルはホジキンリンパ腫を患い闘病中……。全世界で1億枚以上、アルバムを売り上げたデフ・レパードが歩んだ苦難の歴史。まさに「正負の法則」です。
ところがこの手の番組はもうアメリカでは放送されていません。その理由はもちろんYouTubeの登場です。今は、YouTubeなどで動画を検索すると、「あの人の今」が簡単に見られます。この原稿を書くために試しに1980年代洋楽アーティストの今を検索し始めたら、世界各国の映像が次から次へと出てきて、仕事にならなくなってしまいました。
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