資源分野は当社の強み、積極投資するのは当然だ--三菱商事社長・小林健


インフラや環境分野は長期的な視点で取り組む

一方、戦略分野としては、新エネルギーを含む電力や水処理、交通などのインフラ・環境関連の事業育成に力を入れる。こうしたビジネスは投資回収に時間を要するものが多いため、現場の営業部門に任せておくと、投資の優先順位が後回しになりかねない。それでは困るので、別枠として3000億円の投資枠を設けた。すぐには収益の芽が出ないかもしれないが、それでも長期的な視点でしっかりやっていく。

--資源部門の中身を見ると、多額の利益を稼いでいるのは、安く権益が買えた時代の投資案件が大半です。近年は権益の取得費用自体が高騰しているうえ、それを狙うライバルの数も格段に増えています。

そのとおりだ。今や資源に限らず、カネさえ出せば儲かるような甘い商売はどこにもない。競争環境は厳しく、時には国家をバックにした企業と競わないといけないたいへんな時代だ。相当な資金を投じる覚悟がないと、この競争の中では勝ち残れない。

過去の先輩方が、業績の厳しいときでも将来を見据えた投資をやってくれたおかげで、今の三菱商事がある。今度は私たちが10年先の経営を考えて、しっかり種をまき、将来の新しい柱を次の世代に引き継ぎたい。そうは言っても、簡単な話だとは思っていない。水事業にしろ、新エネにしろ、世界中にコンペティターがいて、利幅も決して大きくはない。原料炭のような立派な実は残せないかもしれないが、それでも何にもないよりはましだと。現実はそういう非常にシビアな世界だ。

(聞き手:渡辺清治 =週刊東洋経済2010年8月28日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

こばやし・けん
1949年生まれ、61歳。1971年東大法学部卒業、三菱商事入社。機械の船舶畑を歩み、2001年シンガポール支店長。04年プラントプロジェクト本部長。07年常務執行役員・新産業金融事業グループCEO。10年6月より現職。

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